はじめに:なぜこの方法なのか
価値観を言葉にするのは、意外と難しい。
普段、私たちは「なんとなく」で選択や行動を決めていることが多いからだ。
けれど、選択に迷ったとき、壁にぶつかったとき、自分の価値観が明確だと判断がブレにくくなる。
その価値観を整理するための手法として、「生成AIとの対話」と「ライフチャート作成」を組み合わせると非常に効果的だ。
以下、その具体的なやり方をステップごとに紹介する。
【STEP1】ライフチャートを作る
ライフチャートとは、これまでの人生を「感情の上下」で視覚化するもの。自分の価値観の原点や、重要な経験を整理する土台になる。
■ 作り方
1. 紙とペン(またはスマホのメモアプリ)を準備
2. 横軸に「年齢」、縦軸に「幸福度(プラス)」と「辛さ・違和感(マイナス)」の感覚
3. 幼少期から現在までを、印象的な出来事ごとに曲線で表す
【簡易例】
・10歳:家族旅行で楽しかった → +50
・15歳:受験失敗で落ち込んだ → -30
・20歳:大学で仲間に出会い充実 → +70
・25歳:仕事の人間関係に悩んだ → -40
・30歳:転職で自分らしさを実感 → +60
この曲線を描くことで、「自分にとって何が幸福感につながり、何が違和感を生んだのか」が見えてくる。
【STEP2】生成AIと価値観対話を始める
ライフチャートを眺めながら、生成AI(ChatGPTなど)に以下のように問いかける。
■ 実際の対話例
あなた:「ライフチャートをもとに、私の価値観を整理する手伝いをしてほしい」
AI:「承知しました。チャート上で特に幸福度が高かった時期と、その理由を教えてください」
あなた:「20歳の大学時代、仲間と自由に好きなことに挑戦できたのがすごく楽しかったです」
AI:「素敵ですね。その経験から推測すると『自由』や『挑戦』があなたにとって重要な価値観かもしれません。他に印象的な時期はありますか?」
あなた:「30歳で転職したとき、自分の裁量で仕事を進められる環境になって、やりがいを感じました」
AI:「なるほど。それは『自律性』や『自己決定権』を重視している証拠ですね。逆に、マイナスの時期を教えてもらえますか?」
あなた:「25歳のとき、上司や会社の方針に従うだけの日々がつらかったです」
AI:「その経験は、あなたが『自分で考え、選びたい』という価値観を持っていることを裏付けています。整理すると、あなたの価値観には『自由』『挑戦』『自律』『自己決定』が含まれていそうです」
あなた:「たしかに、しっくりきます。もう少し深掘りできますか?」
AI:「もちろんです。たとえば『自由』とは、具体的にどんな状態を指しますか?『責任を伴う自由』か、『制約のない自由』か、考えてみましょう」
こうして、AIとのやりとりを通じて、曖昧だった価値観が、具体的な言葉やエピソードに基づいて明確化されていく。
【STEP3】価値観リストを作成する
AIとの対話を経て、自分の価値観を「短い言葉」でリスト化する。例として:
自由と自律
挑戦と成長
自己決定と責任
内省と思考の時間
静かな貢献
構造を疑う視点
このリストは、迷ったとき、選択肢に悩んだときの「判断基準」になる。
【STEP4】定期的に見直す
価値観は、人生経験とともに変わるもの。半年〜1年ごとに、再びライフチャートを見直し、AIとの対話を繰り返すことで、常に自分にフィットする価値観をアップデートできる。
まとめ:生成AIは「価値観の伴走者」
生成AIは、単なる便利ツールではなく、思考の整理や価値観の可視化に役立つ存在だ。
人と話すと、遠慮や評価が気になる場面もある。だが、AIはフラットに受け止め、問い返してくれる。
価値観を明確にすることで、流されず、自分らしく生きる選択がしやすくなる。
「自分は何を大切にしているのか」
この問いに答えられる人は、時代がどう変わっても、自分の軸を失わない。
ぜひ一度、生成AIとの対話とライフチャートを試してほしい。
意外な自分に出会えるはずだ。