人間関係を良くするためには褒めたらええよ。褒められて怒る人は居ないし、褒めてくれる人を好きになるんや。
恥ずかしがらずにやってみようや。減るもんじゃないし。
人間関係を円滑に進めていく方法として相手を「褒める」という行為があげられます。
職場でのコミュニケーションの一部に「褒める」というエッセンスをプラスすることで、各段に人受けが良くなります。
相手との距離を縮めることができたり、仕事の相談もしやすくなるでしょう。
また、「褒める」というスキルは、友人関係や恋愛関係にも大いに役立つでしょう。
しかし、褒め方を間違えると、逆効果になってしまったり、ハラスメントになってしまうこともあります。
そこで今回は、「褒める」べき理由と、その効果、逆効果になりがちなNG事例をご紹介します。
ぜひ、円滑な人間関係作りの参考としてください。
人を「褒める」べき理由
承認欲求( 他者から認められたいという欲求 )は誰しも持っている欲求です。
他者から褒められることで、この承認欲求を満たすことができます。
褒めることで相手の欲求を満たすだけでなく、褒めた側にとっても大きなメリットが得られるのです。その理由をみていきましょう。
信頼関係が深まる
褒められることで、脳内では神経伝達物質であるドーパミンが分泌されます。
このドーパミンは快楽ホルモンとも呼ばれ、ドーパミンが分泌されることで、気分が高揚し、幸せな気持ちになります。
褒められた相手は喜びや感謝の気持ちが生まれ、褒めてくれた相手に対して信頼感が強まるとされています。
こういった部分は恋愛などでも活用することができます。
自分の気持ちも前向きになる
苦手な相手に対しても、粗探しをするのではなく、その人の良いところを見つけて褒めるということを意識して行っていくと、自分の気持ちも自然と前向きになっていきます。
褒めることで相手との関係が良好になり、相手が喜んでくれたり成長したりする姿を目にすると、さらに気分が良くなるでしょう。
つまり、褒める行為は、褒めた人にもメリットがあるのです。
相手に自信とやる気を与える
人を動かすには、褒めることが重要です。
褒めることで相手に自信とやる気を与え、積極的に動いてくれるきっかけになるでしょう。
また、「 人は期待されることによって成長が高まる 」 という心理効果があるといわれています。
心理学の「ピグマリオン効果」と呼ばれるものです。
つまり、褒めるという行為は、相手の気持ちや行動をポジティブに変化させることができるのです。
「褒める」人になるには
そもそも、皆さんも褒められたことは少ないのではないでしょうか。
日本人は以心伝心という言葉があるように、「言わなくても相手に伝わっている」という文化があります。
そんな中、「褒める」ことができる人の存在は非常に貴重なものです。
そんな貴重な存在になるためには、どのようなことを意識すべきでしょうか。
褒めることを恥ずかしがらない
褒めるのに慣れていない人は、気恥ずかしさを感じるかもしれません。
そんな場合は褒め言葉の「さしすせそ」を適度に会話に入れていくことを心掛けてください。
・「さ」さすがですね
・「し」知りませんでした
・「す」すごいですね
・「せ」センスが良いですね
・「そ」そうなんですね
「褒める」ことは「下心がある」と、考え過ぎてしまう人もいますが、褒めないより褒めた方が絶対に良い効果が望めるでしょう。
嘘は言わない
褒める際に嘘を混ぜないようにしましょう。
お世辞で大げさに褒めるのではなく、自分が感じた事実を伝えながら褒めるのが有効です。
大げさな言葉や事実にそぐわない過剰な褒め言葉は腑に落ちないことがあります。
本人は嬉しいという感情より、困惑したり、「何か別の意図があるのでは?」と警戒されてしまう可能性もあります。
人を観察しておく
パッと見てわかる外見の特徴を褒められるより、自分でも気が付いていない特徴を褒められる方が嬉しいですよね。
そのためには、常日頃から相手の言動に注意を払っておきながら、良いと思ったポイントを覚えておきましょう。
相手が言われ慣れていない褒め言葉は、相手に突き刺さるはずです。
褒める効果を最大化させるためにも、普段から人の良い部分を観察する習慣を身に着けておきましょう。
「褒める」スキルを高めるポイントとコツ
ただ「褒める」だけでは効果が薄いこともあります。
効果を最大化するためには何をしたらいいのかを説明していきます。
具体的に褒める
「すごい」「良いですね」など単純な感想だけでは、褒め言葉として相手に届かないでしょう。
その人にだけ当てはまるような特徴を具体的な言葉で褒めると、相手もより嬉しく、好印象を与えて信頼につながっていくでしょう。
(例)
「今回のプレゼン資料、分かりやすい工夫があって、提案内容に説得力があったよ」
「この前の仕事を早く終わらせてくれたおかげで、チーム全体が助かったよ」
相手がいないところで褒める
面と向かって褒めるだけでなく、自分が不在のところでだれかに褒められたほうが、強い喜びを感じることがあります。
これは心理学の「ウィンザー効果」と呼ばれるもので、「直接言われるよりも、第三者から間接的に言われたほうが信ぴょう性や信頼性が増す」 というものです。
「直接褒めるのは気恥ずかしい」という人も、この方法なら実行しやすいのではないでしょうか。
(例)
「○○さんが作ってくれる資料は、いつも分かりやすいし、綺麗にまとまってるね」
「○○さんのおかげで、プレゼンが上手くいったらしいよ」
質問形式で褒める
質問形式の褒め方は、相手の優れた点をさりげなく褒めるのに非常に有効なテクニックです。
また、質問形式なので、コミュニケーションが活発になり、質問された相手も気分良く答えてくれるでしょう。
(例)
「 どうしたらそんなに英語が話せるようになるんですか?」
「○○さんのように上手なプレゼンをするにはどうすればいいですか?」
こんな褒め方は絶対NG
ここまで褒めるテクニックを伝えてきましたが、使い方を間違えると逆に不信感を与えてしまうこともあります。
ついついやってしまいがちなものもあるので、今一度チェックしてください。
上から目線
褒めるという行為自体が、目上の人から目下の人を評価するというような意味合いもあります。
ビジネスの場では、目上の人に対しては「褒める」という意識よりも、「感謝する」ことを意識してください。
(例)
「○○さんの助力のおかげで、分かりやすい資料ができました」
「○○さんのプレゼンを参考にさせていただいたら、上手くいきました」
余計な一言
褒めているのに、最後に余計な一言を伝えてしまっては逆効果となってしまうことがあります。
(例)
「議事録はきれいでよくまとまっているね。人の話を聞いてなさそうなのに」
「教えた作業は完璧にできているね、ただもう少し早く動いてほしいな」
などと言われても、嫌味しか感じられないでしょう。
もしどうしても小言も伝えたいときは、「作業は完璧にできているね。でも、もっと○○を工夫すると早くできるようになるよ」というように、改善点を提示しながら褒め言葉を言うのがポイントです。
他者と比較して褒める
「あの人は全然ダメだけど、それに比べてあなたは良くできている」など、他人と比較することを前提にした褒め言葉はNGです。
相手も素直に喜ぶことができないでしょう。
比較する場合は、相手の過去と現在とを比較して、成長した面を強調することが有効です。
まとめ
「褒める」という行為は、相手との関係性だけでなく、周りの人間関係を必ず良くしてくれるでしょう。
また、褒めることで、自分自身の気持ちが前向きになったり、人間関係が良くなることで、自分にも大きなメリットを得られるでしょう。
ただ、効果的に使っていくためにはテクニックやコツを知っておくことが重要です。
今回紹介してきたポイントを踏まえて、「褒める」スキルを磨いていき、職場のコミュニケーションで活かしていってください。