働き方

「その他大勢」で、人生を終えるな。僕が“戦略的に生きる”ことを選んだ理由

2025年8月7日

あなたの人生は、「運任せ」でいいのか?

真面目に勉強し、良い大学に入り、安定した会社に就職する。言われた仕事を誠実にこなし、着実にキャリアを積み重ね、家庭を築く──。

僕たちは、それが「普通」であり、「正しい」人生の歩み方だと、無意識のうちに信じ込まされてきた。しかし、その「普通」のレールの上を走り続けた結果、僕たちを待っているのは、一体どんな未来なのだろうか。

僕は、ある時からその「普通」という名の集団幻想に、強烈な違和感を覚えるようになった。このレールの先にあるのは、結局のところ「誰かにとって都合の良い、代替可能な存在」になる未来なのではないか、と。

この記事は、そんな僕がたどり着いた一つの結論について書いたものだ。 それは、人生とは、運や環境に流されるまま生きるのではなく、自らの意思で「戦略的」にデザインするべきだ、という考え方だ。

これは、他人を蹴落として成功するための冷徹な処世術ではない。自分という、この世にたった一人しかいない存在を、最も輝かせ、最も深く納得できる人生を築き上げるための、知的で創造的な冒険のすすめだ。


第一章:なぜ「戦略」が必要なのか? - “普通”という名の過酷な戦場

なぜ、僕は「他人と同じこと」をしていてはいけない、と考えるのか。

それは、現代社会における「普通」や「平均」というゾーンが、実は最も過酷で、消耗の激しい戦場、いわば「レッドオーシャン」だからだ。

同じような学歴、同じようなスキルセット、同じようなライフプラン。その中で頭一つ抜け出すために、僕たちはわずかな給料の差や、昇進の速さを競い合い、疲弊していく。他人が作った「年収」や「役職」といった評価軸の上で、終わりなき消耗戦を繰り広げているのだ。

この戦いの最も残酷な点は、たとえ勝利したとしても、そこに真の「納得感」は訪れにくいということだ。なぜなら、その物差しは、最後まで自分のものではないからだ。

僕が大切にしている価値観の一つに、「自分が意味を感じられるか」という判断軸がある。他人にどう評価されるかではなく、自分自身がその選択に深く頷けるかどうか。レッドオーシャンでの戦いは、この最も重要な感覚を、僕たちから奪い去っていく。

だからこそ、僕たちは意図的に、そのレッドオーシャンから抜け出すための「戦略」を必要とするのだ。その他大勢がひしめく戦場を降り、自分だけが勝てる、自分だけが心の底から納得できる「ブルーオーシャン」を、自らの手で創り出すために。


第二章:人生における「差別化」- あなたが“唯一無二”になるための2つの道

「差別化」と聞くと、何か突飛なことをしなければならない、と考えるかもしれない。しかし、本質はもっとシンプルだ。それは、「他人には真似のできない、あなただけの価値」を構築することに他ならない。

僕が考える差別化戦略には、大きく分けて2つの方向性がある。

戦略①:一点突破の「深掘り」戦略(専門家への道)

これは、ある一つの分野において、誰にも負けない知識、技術、経験を、徹底的に「突き詰める」ことで、圧倒的な専門性を築く道だ。

例えば、特定のプログラミング言語における世界的第一人者になる。あるいは、ニッチな業界のM&A案件なら、右に出る者はいない、という存在になる。その人の名前が、そのままその分野の代名詞になるようなレベルを目指す。

この道は、言うまでもなく、凄まじい努力と膨大な時間を要する。しかし、一度その地位を確立すれば、それは誰にも真似のできない、極めて強力な「参入障壁」となる。あなたは「代替可能な労働力」ではなく、「指名されるプロフェッショナル」になるのだ。

戦略②:掛け算の「越境」戦略(希少人材への道)

もう一つの道は、一見すると全く関係のない、複数の分野のスキルや経験を身につけ、それらを「掛け合わせる」ことで希少性を生み出す戦略だ。

これは、経営学者のスコット・アダムスが提唱した「100人に1人の人材になることを、複数分野で達成する」という考え方に近い。

例えば、「財務の知識がある人」は100人に1人かもしれない。しかし、「財務の知識があり、かつITシステムを構築できる人」となると、その数はぐっと減るだろう。さらに、「財務に強く、ITもわかり、かつ英語で交渉ができる人」となれば、その存在は「1万人に1人」あるいはそれ以上の、極めて希少な人材となる。

僕自身、この「越境」戦略を意識している。「ビジネスの専門知識」を深めながら、全く違う分野である「自己の内面を探求する哲学」や「自然との共生」といったテーマにも、時間とエネルギーを投資している。これらが将来、どのように掛け合わさり、自分だけの価値を生み出すのか。そのプロセス自体が、僕の人生の楽しみの一つだ。

この戦略は、一つの分野で頂点を目指すのが難しいと感じる人でも、自らの好奇心と行動力次第で、独自のポジションを築くことを可能にする。変化の激しい現代においては、極めて有効な生存戦略と言えるだろう。


第三章:戦略的人生を支える「3つのOS(思考様式)」

これらの戦略を実行するためには、その土台となる、揺るぎない「思考のOS」を自分の中にインストールする必要がある。

OS①:自律(あなたは、あなたの人生の「CEO」である)

まず、自分の人生を一つの「株式会社“自分”」だと捉えることだ。そして、その会社の経営者(CEO)は、他の誰でもない、あなた自身である。

あなたの時間、お金、健康、知識、経験、人間関係。それらはすべて、あなたの会社の「資産」だ。その資産を、どの事業(仕事、趣味、家庭など)に、どれだけ投資するのか。その意思決定権は、すべてあなたが握っている。

誰かの指示を待つのではない。環境のせいにするのでもない。自分の人生の全責任を負う覚悟を持つ。この「自律」の意識こそが、戦略的人生の出発点となる。

OS②:内省(定期的な「自己決算」のススメ)

優れた経営者が、四半期ごとに会社の決算報告をするように、僕たちもまた、定期的に「自己決算」を行うべきだ。

今、自分の「資産」はどうなっているか?(知識は増えたか?健康状態はどうか?お金はどう動いているか?) 逆に、自分の成長を妨げる「負債」は何か?(悪習慣、不要な人間関係、凝り固まった思考など)

そして何より、「自分はこの会社(人生)を、どこへ向かわせたいのか?」というビジョンを、常に問い直すことだ。この「内省」の習慣がなければ、どんな戦略も画に描いた餅で終わってしまう。

OS③:構造的倫理観(自分が「勝てる場所」を意図的に選ぶ)

僕の価値観の根底には、「倫理観とは、意志の強さだけで守られるものではない」という考えがある。それは、経済的な自由や、精神的な余裕といった「条件」が整って初めて、安定して機能する。

これを人生戦略に置き換えるなら、**「やみくもに戦うのではなく、自分が最も輝ける“戦場”を、意図的に選ぶ」**ということだ。

自分の強みが活かせない場所で、無理に戦い続ける必要はない。それは、心身を消耗させ、判断を誤らせ、結果的に自分らしさを見失わせる。経済的な安定を確保し、いつでも「逃げ道」があるという精神的な余裕を持つ。そうした「構造」を自らデザインすることこそが、長期的に見て、最も賢明で、最も倫理的な生き方だと、僕は信じている。


人生は、デザインできる

戦略的に生きる。 この言葉は、どこか冷たく、計算高い響きを持つかもしれない。

しかし、僕が伝えたいのは、他人を出し抜くためのテクニックではない。 それは、**「自分という、この世で最も貴重で、かけがえのない資源を、どうすれば最大限に活かし、社会に貢献し、そして自分自身が深く納得できる人生を送れるか」**という、極めて誠実で、創造的な問いなのだ。

運命に身を委ね、時代の流れに翻弄されるだけの人生に、僕は満足できない。 自分の意思で航路を定め、羅針盤を頼りに、時には嵐に立ち向かいながら、自分だけの新大陸を目指す。その旅路そのものに、人生の価値はあるのだと信じている。

あなたは、どんな戦略で、あなただけの人生をデザインしますか? その設計図は、他の誰にも描けない、あなただけのアート作品なのだから。

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