筋トレ

「筋肉は裏切らない」はガチ!サラリーマンの僕が5年間筋トレを続けて手に入れた、最強の“自己資本”

2025年8月25日

その鉄の塊は、僕にとっての哲学だった

5年前、僕はジムの門を叩いた。 当時の僕は、多くのサラリーマンがそうであるように、会社という名の巨大なシステムの中で、代替可能な歯車の一つとして日々を過ごしていた。理不尽な上司、終わりの見えない会議、そして、他人の評価という不確かな物差しに、心をすり減らす毎日。

そんな中で僕が始めた筋トレは、単なる健康維持や、見栄えを良くするための趣味ではなかった。それは、会社や他人の評価とは全く無関係な場所に、誰にも奪われることのない、自分だけの「価値」を築き上げるという、極めて個人的で、静かなる革命の始まりだった。

あれから5年。週に7回、淡々と鉄の塊と向き合い続けた僕が手に入れたのは、厚くなった胸板だけではない。それは、この不確実な世界を、自分自身の足で、深く納得しながら生きていくための、最強の「自己資本」だった。


第一章:精神の鎧 - なぜ筋トレは、サラリーマン人生への最強の解毒剤なのか

筋トレの最も深遠な効果は、身体ではなく、まず精神に現れる。それは、オフィスという閉鎖空間で蝕まれがちな、我々男性の本能的な部分を、根源から揺さぶり、再起動させるプロセスだ。

① ホルモンという名の、内なる炎

デスクワーク中心の生活は、僕たちの身体を静かに、しかし確実に蝕んでいく。ストレスや運動不足は、男性ホルモンである「テストステロン」の分泌量を低下させ、気力や決断力、そして記憶力といった認知機能にまで影響を及ぼすことが報告されている 。  

筋トレ、特にスクワットやデッドリフトのような高負荷のトレーニングは、このテストステロンの分泌を強力に促進する 。さらに、精神の安定をもたらす「セロトニン」  や、快感と意欲を生み出す「ドーパミン」といった脳内ホルモンの分泌も促される 。  

この内なる化学変化は、僕の仕事への向き合い方を一変させた。それは「会社のために」ではない。「自分自身の納得感のために」、よりクリアな頭で、より高いパフォーマンスを発揮できるようになったのだ。これは、僕にとっての「自律」を取り戻すための、生物学的なアプローチだった。

② 「いざとなれば、この人をひねり潰せる」という、究極の精神安定剤

サラリーマン生活には、理不尽がつきものだ。無能な上司からの叱責、取引先からの無理難題。かつての僕なら、ストレスを溜め込み、無力感に苛まれていただろう。

しかし、身体を鍛え始めてから、僕の心には一つの「安全装置」が備わった。それは、「物理的には、僕の方が圧倒的に強い」という、揺るぎない事実だ。

もちろん、実際にその力を行使することはない。しかし、「いざとなれば、いつでもこの人をひねり潰せる」と思えるだけで、心には驚くほどの余裕が生まれる。相手の言葉は、もはや僕の尊厳を脅かす脅威ではなく、ただの「情報」として冷静に処理できるようになった。

これは、僕が大切にする「構造的倫理観」の実践でもある。物理的な強さという「逃げ道」が、精神的な余裕を生み、結果として、より冷静で、より倫理的な判断を可能にするのだ。


第二章:目に見える配当 - 身体が変われば、世界からの扱いも変わる

精神的な変革と並行して、筋トレは極めて分かりやすい「外部からの配当」をもたらしてくれる。

① 「仕事ができそう」という、見た目の資本

人は、悲しいほど見た目で他人を判断する。猫背で自信なさげな細身の男と、姿勢が良く、胸板の厚い男。どちらが「仕事ができそう」に見えるかは、火を見るより明らかだ。

これは、心理学で言うところの「ハロー効果」。一つの優れた特徴が、全体の評価を引き上げるのだ。僕自身、筋トレを始めてから、転職の面接で「信頼関係を築けそう」「爽やかだ」といった、能力とは直接関係のないフィードバックを得る機会が格段に増えた。

見た目を整えることは、虚栄心の問題ではない。それは、他人の認知バイアスを逆手に取り、自分を有利なポジションに置くための、極めて有効な人生戦略なのだ。

② 「筋肉は裏切らない」という、唯一の確かな資産

長いサラリーマン人生、人間関係には裏切りがつきものだ。信頼していた上司は異動し、苦楽を共にした同僚は転職していく。会社そのものですら、いつ僕たちを切り捨てるか分からない。

しかし、筋肉だけは違う。 一度身につけた筋肉は、そう簡単にはなくならない。「マッスルメモリー」という言葉があるように、たとえ一時的にトレーニングを中断しても、再開すれば驚くほどのスピードで元の状態に戻る 。  

僕が5年間、黙々と積み上げてきたこの身体は、誰にも奪うことのできない、僕だけの資産だ。この確かな感覚が、会社という不確かな存在への過度な依存から、僕を解放してくれた。


第三章:成長の対価 - いわゆる“デメリット”は、本当にデメリットか?

筋トレにはデメリットもある、と言われる。しかし、5年間続けてきた僕に言わせれば、そのほとんどは、成長に伴う喜ばしい「トレードオフ」でしかない。

  • 服が入らなくなる? それは、あなたの身体が、過去の自分から進化したという、最も分かりやすい証拠だ。古い自分を脱ぎ捨て、新しい自分にふさわしい服を手に入れる。メルカリで古い服を売り、その資金で新しい服を買えばいい。これはコストではなく、成長の祝祭だ。
  • 友達が減る? 正確に言えば、「人間関係が最適化される」のだ。付き合いだけの無駄な飲み会に費やしていた時間を、自己投資に振り向ける。その結果、あなたの価値観を理解しない人々は自然と離れていき、あなたの新しい生き方を尊重してくれる、本物の仲間だけが残る。これは、僕の人生における「静かな貢献」「自律」の現れでもある。
  • 筋肉トークが増える? 筋肉が減るのが怖い? それは、あなたの人生の評価軸が、会社の評価や他人の目から、「自分自身の成長」という、あなたが完全にコントロールできる領域へと、健全にシフトした証拠だ。他人のゴシップや会社の愚痴を話すより、タンパク質の話をする方が、よほど建設的ではないか。

管理されるな。己を鍛えよ。

僕は、筋トレを始めて1年ほどで、職位が一つ上がった。それは、筋トレが直接的な原因ではないかもしれない。しかし、筋トレによって得られた自信、精神的な安定、そしてクリアな思考が、僕の仕事の質を向上させたことは、間違いないだろう。

だが、もはや、そんなことはどうでもいい。 なぜなら、僕の人生の価値は、もはや会社の職位や評価によって、揺らぐことはないからだ。

筋トレとは、自分自身の身体と精神を、自分の意思で彫刻していく、神聖な行為だ。それは、会社という一時的なプラットフォームの上で、決して自分を見失わないための、最強のアンカー(錨)となる。

もし、あなたが今、かつての僕のように、見えない不安や無力感に苛まれているのなら。 まずは、一番近くにあるバーベルを、握りしめてみてはどうだろうか。

その鉄の重さだけが、この不確かな世界で、あなたが信じるに足る、唯一の確かなものなのかもしれないのだから。

-筋トレ