貯蓄

僕は、なぜ給料の“ほぼ全て”を、日本円ではなく「米ドル」に換え続けるのか。- 沈みゆく国で、個人が資産を守るための、唯一の答え

その“預金通帳”は、本当に、あなたの“財産”ですか?

僕たちは、日本で生まれ、日本で育ち、そして、日本円で給料をもらう。 銀行の預金通帳に、美しいゼロの列が並んだ「円」の数字を眺め、それを、自らの「資産」だと、信じて疑わない。 その感覚は、あまりにも、当たり前で、そして、心地よい。

しかし、僕は、あえて、あなたに問いたい。 その、あなたが「安全」だと信じている“日本円100%の資産ポートフォリオ”は、実は、あなたの全財産を、一つの、あまりにも脆く、そして、ゆっくりと沈みゆく船に、積み込んでいるのと、同じことなのだとしたら?

この記事は、そんな僕が、なぜ、毎月の給料の、生活費を除いた、ほぼ全てを、日本円から「米ドル」へと、機械的に、そして、執拗に、換え続けているのか。その理由について語るものである。

これは、単なる投資の話ではない。 これは、僕たち個人が、国家という、もはや頼ることのできない、巨大なシステムの浮沈から、自らの人生の主導権を守り抜くための、戦略的な“資本の逃避”であり、たった一人で、自分だけの“救命ボート”を作り上げるための、静かなる闘争の記録だ。

僕たちが乗る「日本丸」という名の、豪華客船の、不都合な真実

なぜ、僕は、この国を「沈みゆく船」だと、断言するのか。 それは、僕が、悲観論者だからではない。それは、僕たちが、この国の、いくつかの、構造的で、そして、おそらくは、不可逆的な“不都合な真実”から、目をそむけているからだ。

① 人口動態という、変えようのない“運命”

この国の、生産年齢人口は、恐るべきスピードで、減少し続けている。 少ない若者が、増え続ける高齢者を支える。この、逆ピラミッド型の人口構造は、もはや、誰にも、止めることはできない。 これは、社会保障制度の、緩やかな崩壊と、国家としての、経済的な成長力の、長期的な“死”を、数学的に、宣告しているのに等しい。

② 異次元の“国家債務”という、時限爆弾

日本の政府債務は、GDPの2倍を超え、先進国の中で、群を抜いて、最悪のレベルにある。 これまで、この時限爆弾が、爆発しなかったのは、ひとえに、日本銀行という“身内”が、超低金利で、国債を買い支え続けてきたからに他ならない。 しかし、世界的なインフレと、金利上昇の波の中で、この「異常な錬金術」が、いつまでも続く保証など、どこにもない。

③「失われた30年」が、国民から奪った“野心”

そして、何よりも、深刻なのが、これだ。 30年にも及ぶ、経済的な停滞は、僕たちの社会から、リスクを取ってでも、新しい価値を創造しようとする「野心」や「アニマルスピリッツ」を、根こそぎ奪い去ってしまった。

これらの、構造的な問題を、冷静に、そして、客観的に、分析した時。 僕には、どうしても、自分の人生の、すべてのカードを、「日本円」という、たった一つの、バスケットに、賭けることは、できなかったのだ。

なぜ、「米ドル」なのか - 最強の通貨ではなく、“最もマシな通貨”という選択

「しかし、アメリカだって、問題を抱えているじゃないか」 そう、反論する人もいるだろう。その通りだ。アメリカもまた、巨額の債務と、深刻な社会の分断という、大きな問題を抱えている。米ドルもまた、完璧な通貨ではない。

しかし、僕たちが、生きているのは、完璧な世界ではない。 僕たちにできるのは、数ある「不完全な選択肢」の中から、最も“マシ”なものを、戦略的に、選び取ることだけだ。

そして、その観点に立った時、「米ドル」は、依然として、他のあらゆる通貨を、圧倒する、三つの強みを持っている。

  1. 圧倒的な「軍事力」: 通貨の、最終的な価値を担保するのは、その国の、軍事力だ。その点において、アメリカに、匹敵する国は、存在しない。
  2. 圧倒的な「経済的ダイナミズム」: 僕が、投資対象としている「S&P500」を見れば、明らかだ。Apple、Microsoft、Google、Amazon…。世界を、革新し続ける、最強の企業群は、いまだに、アメリカから、生まれている。
  3. 「基軸通貨」という、絶対的な“特権”: 世界の貿易、金融取引は、すべて、ドル建てで行われる。世界が、経済危機に陥った時、世界の富は、ドルから逃げ出すのではなく、むしろ、安全を求めて、ドルへと、還流してくるのだ。

僕は、アメリカが「完璧」であることに、賭けているのではない。 僕は、この、不完全な世界の中で、「最後まで、生き残る可能性が、最も高い通貨」に、賭けているだけなのだ。

僕が、毎月、実践する、静かなる“資本の逃避”

では、僕が、具体的に、どうやって、給料として得た「日本円」を、「米ドル」に換え続けているのか。 銀行で、両替をしているわけではない。僕の方法は、もっと、シンプルで、合理的だ。

「僕の給与所得(日本円)で、米ドル建ての“資産”を、ただ、買い続ける」

これだけだ。

① S&P500 / 全世界株式(オルカン)への、積立投資

僕が、NISAのつみたて投資枠で、毎月、機械的に買い増している、これらのインデックスファンド。 その中身は、アメリカを中心とした、世界の優良企業群だ。 つまり、僕は、日本円を、世界の企業の“所有権”へと、変換している。 僕の資産は、もはや、日本経済の浮沈ではなく、世界経済全体の成長と、その価値を、映し出すようになる。

② 米国高配当株式ETF(VYM)への、集中投資

僕が、新NISAの成長投資枠で、買い増している、VYM。 これは、アメリカの、成熟した、高配当企業群の、詰め合わせだ。 これにより、僕は、3ヶ月に一度、「米ドル」で、配当金という名の、不労所得を、受け取ることができる。 僕のポートフォリオには、日本円の給与所得とは、全く別の、米ドル建ての、キャッシュフローが、生まれ始めているのだ。

もはや、僕の資産の、大部分は、日本の銀行の、預金通帳の中には、存在しない。 僕の富は、国境を越え、アメリカという、よりダイナミックで、より強靭な経済圏に、その根を、下ろしている。 僕の、個人的な“資産”は、事実上、“米ドル化”されているのだ。

結論:君は、君だけの“救命ボート”を、持っているか

この話は、過激に、聞こえるかもしれない。 愛国心がない、と、批判する人も、いるだろう。

しかし、これは、僕にとって、イデオロギーの話ではない。 これは、僕が、僕自身の人生と、家族の未来を守るための、極めて、個人的で、そして、切実な「生存戦略」の話だ。

日本で生まれたことは、僕にとって、幸運だった。 しかし、その、偶然の幸運に、僕の人生の、100%を、賭けることは、もはや、戦略的な“誤り”だと、僕は思う。

もう一度、君自身の、資産ポートフォリオを、見つめ直してみてほしい。 その、円グラフは、一体、何色に、染まっているだろうか。 その、99%、あるいは、100%が、「日本円」という、たった一つの色で、塗りつぶされては、いないだろうか。

あなたは、巨大で、少しずつ、傾き始めている、一隻の船の上で、救命ボートも持たずに、ただ、立ち尽くしている。

船を、見捨てる必要はない。 しかし、自分だけの、小さな、しかし、頑丈な「救命ボート」を、作り始めることは、今日からでも、できるはずだ。

君の、そして、君の大切な人の、未来の命運は、その、ささやかな、しかし、賢明な、一歩に、かかっているのだから。

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