
あなたの“不安”は、誰かの“利益”になっている
僕たちの社会は、かつてないほどの「健康ブーム」に包まれている。 そして、そのブームの中心で、まるで現代の“免罪符”のように、輝かしく鎮座しているのが「サプリメント」だ。
- 「なんだか、最近、疲れやすい…」→ ならば、マルチビタミンを。
- 「肌の調子が、気になる…」→ ならば、コラーゲンを。
- 「将来の、健康が不安だ…」→ ならば、〇〇エキスを。
ドラッグストアの棚には、僕たちの、あらゆる不安に寄り添うかのような、色とりどりの「魔法の粒」が、ずらりと並んでいる。 僕たちは、その、手軽で、分かりやすい“解決策”に、つい、手を伸ばしてしまう。
しかし、僕は、あえて、あなたに問いたい。 その、あなたが、今、口に放り込もうとしている“魔法の粒”は、本当に、あなたの身体を、救ってくれるのだろうか? それとも、それは、あなたの「不安」を“養分”として、肥え太る、巨大なビジネスの、一部に過ぎないのだろうか。
この記事は、僕が、なぜ、世に溢れるサプリメントの、その9割以上を「信用しない」と、断言するのか。その、不都合な真実と、僕が、数多の選択肢の中から、「それでも、これだけは摂取する価値がある」と、戦略的に判断した、ごく僅かな“本物”についての、全記録である。
“健康”という名の、三つの巨大な“幻想”
僕たちが、サプリメントに、安易に手を出してしまう背景には、現代の健康産業が作り上げた、三つの、巧妙な「幻想」が存在する。
① 「引き算」の幻想 - “栄養素”だけを、取り出せるという、傲慢
僕たちは、いつの間にか、食べ物を「栄養素の集合体」として、捉えるようになってしまった。 ニンジンは、βカロテン。レモンは、ビタミンC。そして、僕たちの身体は、それらの栄養素を、パズルのピースのように、組み合わせれば、健康になる、単純な“機械”である、と。
この、あまりにも「還元主義的」な思想こそが、サプリメントという、ビジネスを生み出した。 「食事で、ビタミンCが足りないなら、ビタミンCの“粒”を、足せばいい」
しかし、自然の食べ物は、それほど、単純ではない。 一本のニンジンには、βカロテン以外にも、僕たちが、まだ名前すら知らない、何千、何万という、微量栄養素(ファイトケミカル)が、複雑なオーケストラのように、互いに、作用し合いながら、存在している。
その、生命の、完璧なシンフォニーそのものを、無視して、たった一つの栄養素だけを、化学的に抽出し、カプセルに詰め込んだものが、果たして、本物と、同じ働きをしてくれるのだろうか。 それは、あまりにも、生命に対する、傲慢な考え方だ。
② 「免罪符」の幻想 - サプリを飲めば、不健康が“許される”という、甘え
そして、これが、最も、危険な罠だ。 多くの人にとって、サプリメントは、不健康な生活習慣を、正当化するための“免罪符”として、機能してしまっている。
「今日は、野菜を食べられなかったから、マルチビタミンを飲んでおこう」 「飲み会が続くから、ウコンのサプリで、肝臓をケアしよう」
その、安易な自己正当化は、僕たちから、食生活や、生活習慣そのものを、根本から見直すという、最も重要で、しかし、最も面倒な「本質的な努力」から、目をそむけさせる。 サプリメントは、僕たちの健康を、守ってはくれない。それは、僕たちの*甘え”を、助長するだけだ。
③ 「魔法の弾丸」の幻想 - “飲むだけ”で、すべてが解決するという、怠惰
僕たちは、努力を嫌う。 そして、サプリメントは、その、僕たちの、怠惰な心に、優しく、そして、狡猾に、寄り添ってくる。 「飲むだけで、痩せる」「飲むだけで、元気になる」「飲むだけで、賢くなる」
しかし、そんな「魔法の弾丸(マジックバレット)」は、この世界の、どこにも、存在しない。 もし、本当に、そんなものが存在するのなら、肥満や、病気で悩む人間は、この世から、一人も、いなくなっているはずだ。
僕の、大原則 -「食事こそが“OS”、サプリは“プラグイン”」
では、どうすればいいのか。 僕が、自らの健康を、デザインする上で、絶対に揺るがない、たった一つの、大原則がある。
「日々の“食事”こそが、僕の身体の“OS(オペレーティングシステム)”である。そして、サプリメントとは、そのOSの、特定の機能を、補強するためだけの、“プラグイン”に過ぎない」
OSが、ウイルスにまみれ、バグだらけの状態で、いくら高性能なプラグインを、インストールしたところで、PCが、快適に動くはずがない。
- 白い悪魔たち(砂糖、加工食品、悪い油)に、まみれた、不健康な食生活(=バグだらけのOS)
- その上で、気休めに、高価なサプリメント(=プラグイン)を、摂取する
これほど、非効率で、愚かな行為が、他にあるだろうか。 君が、まず、やるべきこと。それは、新しいプラグインを探すことではない。 君のOS、すなわち、君の「食生活」そのものを、クリーンインストールし直すことだ。
僕が、それでも“飲む”と決めた、6つの「戦略的プラグイン」
その、大原則の上に立った上で。 僕は、数あるサプリメントの中から、僕の人生の、特定の目的を、サポートするために、「明確な投資価値がある」と判断した、ごく僅かな、6つの“プラグイン”だけを、厳選して、使用している。
① マルチビタミン&ミネラル:「保険」
完璧な食事を、毎日、続けるのは、難しい。これは、その、どうしても生じてしまう、微量な栄養素の“穴”を埋めるための、最低限の「保険」だ。高価なものである必要はない。
② オメガ3脂肪酸(フィッシュオイル):「消火器」
現代の食生活では、炎症の“アクセル”となる「オメガ6脂肪酸」が、圧倒的に過剰になる。その“火事”を、鎮火させるための、必須の「消火器」だ。
③ EAA / ④ グルタミン / ⑤ クレアチン:「筋トレ用、特殊装備」
これらは、「健康」のためではない。「筋トレのパフォーマンスを、最大化する」という、極めて、明確で、特殊な目的のために、使用する“兵器”だ。
- EAAは、筋肉の「建築資材」。
- グルタミンは、免疫力を維持する「回復薬」。
- クレアチンは、筋出力を高める「ブースター」。
⑥ マカ:「個人的な、お守り」
活力向上などのために、僕が、個人的な体感として、良いと感じているもの。科学的根拠が、他のものほど、強固ではないことも、理解した上で、自己責任で、摂取している「お守り」のような存在だ。
結論:魔法を探すな。君自身の“知性”を、信じろ
僕たちが、本当に、向き合うべきは、次から次へと現れる、新しい「スーパーフード」や、「奇跡のサプリメント」ではない。 僕たちが、本当に、向き合うべきは、自分自身の「食生活」という、あまりにも、当たり前で、しかし、最も重要な“現実”だ。
サプリメントの棚の前で、立ち尽くす時間があるのなら。 その時間で、スーパーの、生鮮食品コーナーへ、足を運べ。 そして、旬の野菜や、新鮮な魚を、手に取れ。
本当の健康は、ボトルの中には、入っていない。 それは、君自身の「知性」と、「選択」と、そして、日々の、地味で、誠実な「実践」の中にこそ、あるのだから。