
ようこそ、投資という名の“戦場”へ
2024年から始まった、新NISA。 この、国が与えてくれた、最強の非課税制度をきっかけに、多くの人々が、希望を胸に、投資という名の、新しい世界の扉を開けたことだろう。
証券口座を開設し、インデックスファンドを積み立て、画面上の資産が、少しずつ、右肩上がりに増えていく。素晴らしいことだ。君は、未来の自分を救うための、最も賢明で、最も勇気ある一歩を、確かに踏み出した。
しかし、僕は、そんな君に、あえて、少しだけ、厳しい話をしなければならない。
今の、この、穏やかで、心地よい追い風が吹く市場。 これは、投資という世界の、本当の姿ではない。
僕が、リーマンショックや、コロナショックといった、数々の“嵐”を乗り越え、資産4000万円という、ささやかな砦を築き上げる中で、骨の髄まで理解したこと。 それは、この世界が、時に、僕たちの想像を、遥かに超える「暴落」という名の、巨大な牙を剥く、冷徹な“戦場”であるという事実だ。
その日が、来た時。君は、その恐怖に耐え、戦場に、立ち続けることができるだろうか。 この記事は、そんな、いつか必ず訪れる「その日」のために、僕が、君に授けることができる、唯一にして、最強の「心構え」についての話である。
なぜ、僕たちは“パニック”に陥るのか - 損失回避という、脳の“バグ”
まず、敵の正体を知らなければならない。 僕たちが、暴落局面で向き合う、本当の敵。それは、市場そのものではない。 それは、君自身の「脳」だ。
人間の脳には、「プロスペクト理論」で証明された「損失回避性」という、強力なバグが、生まれながらにして、インストールされている。 これは、「利益を得る喜び」よりも、「損失を被る痛み」を、2倍以上も、強く感じてしまうという、厄介な性質だ。
君の100万円の資産が、110万円になる喜びよりも、90万円に減ってしまう痛みの方が、遥かに、君の心を、激しく揺さぶるのだ。
暴落が起き、君の資産が、一日で、10%、20%と、溶けていく。 その時、君の、理性を司る「前頭前野」は、完全に機能を停止する。代わりに、恐怖と、生存本能を司る「扁桃体」が、脳をハイジャックし、君に、ただ一つの、しかし、最も誤った命令を下す。
「危険だ! 今すぐ、ここから、逃げろ!!」
その、本能的な叫びに屈し、恐怖のどん底で、すべてを投げ売りしてしまう「狼狽売り」。 これこそが、いつの時代も、9割の個人投資家が、市場から、無残に退場していく、唯一の理由なのである。
僕の“精神安定剤” - 嵐の中で、僕が“冷静”でいられる理由
では、どうすれば、この、脳に刻まれた、強力なバグに、抗うことができるのか。 意志の力や、精神論では、不可能だ。僕たちが頼るべきは、あらかじめ構築された「システム」と「哲学」だ。
僕が、どんな暴落の中でも、比較的、冷静でいられるのは、僕の投資が、二つの、強固な柱によって、支えられているからだ。
① 「オルカン+VYM」という、鉄壁の“分散”
僕の資産の核は、「全世界株式(オルカン)」と「米国高配当株式ETF(VYM)」で、構成されている。 オルカンは、世界中の数千社に分散投資することで、特定の国や、企業が破綻したとしても、致命傷を避けることができる、究極の「守り」だ。 一方で、VYMは、暴落時でさえ、比較的安定した「配当金」という名の、確実なキャッシュフローを、僕にもたらしてくれる。
株価という「評価額」が、どれだけ下がろうとも、配当金という「現金」が、口座に振り込まれ続けるという事実。この、一点が、「この資産は、まだ死んでいない。僕のために、働き続けてくれている」という、圧倒的な安心感を、僕に与えてくれるのだ。
② 「恐怖と強欲指数」という、客観的な“羅針盤”
そして、もう一つ。 僕は、市場がパニックに陥った時、必ず、CNNが公表している「恐怖と強欲指数」を、見ることにしている。 この指数が、「Extreme Fear(極度の恐怖)」を指している時。それは、市場が、もはや、論理ではなく、集団的なヒステリーによって、動いていることを、客観的に示している。
僕は、その数字を見て、こう、自分に言い聞かせる。 「周りは、パニックに陥っている。しかし、それは、僕にとって、最大の“チャンス”の到来を告げる、号砲なのだ」と。
たった一つの心構え -「暴落は、“バーゲンセール”である」
そして、ここからが、この記事の、最も重要な核心だ。 君が、暴落の恐怖を、乗り越えるために、その心に、深く、深く、刻み込むべき、たった一つの、心構え。
それは、「株価の暴落は、“世紀の大バーゲンセール”である」という、揺るぎない真実だ。
想像してみてほしい。 君が、ずっと欲しかった、高級ブランドのコート。それが、ある日突然、「本日限り、全品50%オフ!」という、信じられない価格で、売りに出されている。 君は、どうするだろうか? 「価値が下がった!」と、パニックになり、店から逃げ出すだろうか。 いや、違うはずだ。君は、目を輝かせ、財布を握りしめ、その店へと、駆け込むはずだ。
株価の暴落も、これと、全く、同じことなのだ。
Apple、Microsoft、トヨタ…。 世界を代表する、超優良企業の、株式(所有権)が、昨日までの半額で、市場に、叩き売られている。 なぜ、ここで、売る必要がある? なぜ、ここで、恐怖を感じる必要がある?
ここは、恐怖のどん底ではない。 ここは、富を築くための、一生に一度、あるかないかの、黄金郷なのだ。
そして、君が設定した「つみたて投資」は、このバーゲンセール会場で、最も賢く、最も冷静な、買い物客となる。 君が、恐怖に震えている間も、君のシステムは、淡々と、そして、機械的に、割安になった資産を、自動で、買い増し続けてくれる。
結論:嵐は、必ず来る。備えよ。
新NISAを始めた、君へ。 嵐は、必ず、来る。 それが、いつ、どれくらいの規模で来るのかは、誰にも、予測できない。
しかし、その日が来た時、君は、もはや、無力な難破船の乗組員ではない。 君は、この心構えという名の、頑丈な「羅針盤」を、手にしている。
周りの人々が、恐怖に駆られ、阿鼻叫喚の地獄の中で、自らの資産を、投げ売りしていく。 その光景を、君は、冷静な目で、見つめることができるだろう。
そして、心の中で、こう、呟くのだ。「ありがとう。最高の“買い場”を、くれて」と。
恐怖は、投資の世界への、入場料だ。 しかし、パニックは、選択である。
その日のために、今から、君の心を、鍛え上げろ。 嵐を乗り越えた先にしか、僕たちが、本当に望む、自由な未来は、待っていないのだから。