人生論

20代で「やるべきこと」リストは、今すぐ捨てろ!唯一、意識していた“人生のOS”の話をしよう

2025年8月7日

「昭和の人生すごろく」は、もう存在しない

「20代でやるべき5つのこと」「後悔しない20代の過ごし方10選」——。 世の中には、親切心から、僕たち若者に向けた「人生の攻略本」が溢れている。しかし、僕は、その手のリストを見るたびに、ある種の強烈な違和感を覚えていた。

提供された記事の筆者が喝破しているように、かつて日本社会に存在した「昭和の人生すごろく」——良い会社に入り、真面目に働き、年功序列の階段を上っていく——は、とっくの昔にサービスを終了している。

もはや、すべてのプレイヤーが同じ盤面で、同じゴールを目指すゲームではない。僕たちは、それぞれが全く異なるマップ、異なるルール、そして異なる勝利条件で、自分だけのゲームを戦わなければならない時代に生きているのだ。

それなのに、なぜ僕たちは、いまだに画一的な「やるべきこと」リストに、心を惑わされてしまうのだろうか。

この記事は、そうした外部のノイズから自由になり、これからの不確実な時代を生き抜くための、たった一つの、しかし最も重要な原則について語るものである。それは、小手先のテクニックや、やるべきことのチェックリストではない。あなたの人生のあらゆる局面で、最善の意思決定を可能にする、あなただけの「OS(オペレーティングシステム)」を、20代のうちに構築せよ、という提案だ。


第一章:「何を」やるかは重要ではない。「なぜ」やるかが全てである

提供された記事では、「多様性に触れる」「キャリアの土台を築く」「大きな失敗をする」「自己投資する」「自分自身を知る」という、5つの素晴らしい指針が示されている。

しかし、僕はあえて言いたい。これらの「行動(What)」そのものには、本質的な価値はない、と

なぜなら、これらをただのチェックリストとしてこなしても、その背景にある「目的(Why)」、すなわち、あなた自身のOSが明確でなければ、すべては空虚な自己満足で終わってしまうからだ。

「とりあえず流行っているから」とプログラミングを学び、「人脈作りのために」と交流会に参加し、「挑戦が大事だから」と無謀なプロジェクトに手を挙げる。その根底に、あなた自身の「こうありたい」という強固な意志がなければ、それはただ、他人の価値観の上で踊らされているに過ぎない。

僕が考える、20代でインストールすべき人生のOS。その名は、「自律OS」だ。 それは、「何があっても、誰に依存することなく、自分自身の足で立ち、自分の頭で考え、自分の意思で人生を選択し続ける」という、極めてシンプルで、しかし力強いプログラムである。

このOSをインストールして初めて、前述の5つの行動は、単なる「やるべきこと」から、あなたという存在を強固にするための「戦略」へと昇華するのである。


第二章:「自律OS」を構築する、3つのコア・プログラム

では、この「自律OS」は、具体的にどのようなプログラムで構成されているのか。僕の解釈を交えながら、3つの柱を提示したい。

① プログラム1:「ポータブルな自分」を構築せよ

これは、提供記事の「キャリアの土台を築く」「自己投資する」という指針を、僕のOSに実装したプログラムだ。

ここで言う「ポータブル」とは、単に転職市場で有利になる「ポータブルスキル」を意味しない。それは、今いる会社、今の役職、今の人間関係といった、あらゆる外部環境から自分自身を“引っこ抜いて”、全く別の場所に“移植”しても、ちゃんと根を張り、価値を生み出せる、という意味での「ポータブルな自分」である。

そのために、20代のうちに投資すべきは、以下の3つの資本だ。

  • 知的資本: 問題解決能力やコミュニケーション能力といった基礎能力はもちろん、変化の激しい時代を生き抜くための普遍的な教養(リベラルアーツ)や、お金の知識(資産運用)。
  • 経済資本: 稼ぐ力そのものと、稼いだお金を「貯蓄」するだけでなく、未来の自分を助ける資産へと「増やす」習慣。20代からの少額の積立投資は、30年後、40年後に、あなたに圧倒的な選択の自由をもたらす。
  • 精神資本: 失敗から学び、ストレスを乗りこなし、自分自身の機嫌を自分で取れる、強靭なメンタリティ。

魚をもらうな、魚の釣り方を学べ。いや、あなた自身が、どこへ行っても魚を釣り上げられる、最強の釣り人になるのだ。

② プログラム2:「質の高い失敗データ」を意図的に収集せよ

これは、「大きな失敗をする」という指針の、僕なりの解釈だ。

失敗そのものが目的ではない。僕たちが目指すべきは、失敗のリスクを恐れず「挑戦」することだ。そして、その挑戦から得られる、成功と失敗の両方を含む「質の高い生データ」を、誰よりも多く収集することだ。

20代という季節は、失敗のコストが驚くほど安い、人生のボーナスステージである。25歳での失敗は、周囲から「若気の至り」と許され、貴重な学習データになる。しかし、45歳での同じ失敗は、キャリアを終わらせる致命傷になりかねない。

だからこそ、この特権的な期間に、意図的に打席に立ち続けるのだ。タフなプロジェクトに手を挙げる。社内公募で環境を変える。副業で自分の力を試す。 その挑戦を通じて得られた一次情報は、どんなビジネス書にも書かれていない、あなただけの資産となる。

③ プログラム3:「自分だけの評価軸」を設計せよ

これは、「多様性に触れ」「自分自身を知る」という指針の、最終目的だ。

なぜ、僕たちは居心地の良い環境を飛び出し、多様な価値観に触れるべきなのか。それは、「会社や世間が提示する、たった一つの成功モデル」という呪縛から、自分を解放するためだ。

様々な生き方、様々な幸せの形を知ることで、僕たちは初めて、「自分にとっての成功とは何か」「自分にとっての幸せとは何か」という、最も重要な問いと向き合うことができる。

そして、その問いと向き合う「内省」の時間を通じて、あなただけの「評価軸」を、心の中に打ち立てるのだ。年収や役職といった、他人が作った物差しではない。あなた自身が、心の底から「納得」できる、あなただけの物差しを。

この内なるコンパスを持つ者だけが、人生という荒波の中で、他人の声に惑わされず、自分だけの航路を進み続けることができる。


羅針盤を創れ。そうすれば、航路は自ずと見えてくる

「20代でやるべきこと」リストが、なぜ僕たちの心をざわつかせるのか。それは、僕たちが無意識のうちに、人生の「正解」を、自分の外側に求めてしまっているからだ。

しかし、もう正解などない。 僕たちが20代で本当にやるべきことは、ただ一つ。

どんな嵐が来ても、どんな未知の大陸に漂着しても、自分の力で進むべき方角を見つけ出せる、精巧で、揺るぎない「羅針盤(=自律OS)」を、自分の中に創り上げることだ。

このOSさえインストールされていれば、あなたが次に何をすべきかは、誰かに教えてもらうまでもない。あなたは自ずと、挑戦し、学び、自分だけの評価軸で、人生を切り拓いていくだろう。

リストを捨てて、旅に出よう。 あなただけの、壮大な冒険が、今、始まるのだから。

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