NISA 高配当株投資

暴落を叫ぶヤツに、あなたの魂を売るな。

2025年8月8日

「【警告】大暴落は近い!今すぐ全ての株を売れ!」

SNSを開けば、今日もまた、誰かが世界の終わりのように、市場の暴落を叫んでいる。真っ赤な下向きの矢印。不安を煽る過激なサムネイル。そして、断定的な口調で語られる、悲観的な未来予測。

それらを一度でも目にすれば、我々の心には、冷たい棘のような不安が突き刺さる。 「もしかしたら、本当に今回は危ないのかもしれない…」 「今、売っておけば、損失を免れることができるのではないか…」

これまで時間をかけて築き上げてきた、自分なりの投資哲学が、他人の声によって、いとも簡単に揺さぶられてしまう。この経験は、投資を続ける者であれば、誰しもが一度は通る道であろう。

だが、ここで我々は、一度立ち止まって、冷静に問うべきなのだ。

なぜ彼らは、かくも声高に「暴落」を叫び続けるのか? そして、その声に耳を傾けることは、本当に我々の資産を守ることになるのか、と。

この記事は、市場に蔓延する「恐怖の商人」たちの正体を暴き、長期投資家が取るべき、唯一にして絶対の行動指針を提示するものである。結論を先に言おう。あなたのやるべきことは、ただ一つ。

耳を塞ぎ、目を閉じ、自らが定めた航路を、ただひたすらに守り抜くことだ。

1. なぜ彼らは、かくも声高に「暴落」を叫ぶのか

彼らが、あなたの将来を心から案じ、善意で警告を発していると、本気で信じているだろうか。 残念ながら、その可能性は極めて低い。

彼らの行動原理は、善意ではない。ビジネスである。 現代のインターネット経済において、最も価値のある通貨は、お金ではない。「アテンション(注目)」だ。人々の注目を集め、アクセス数を稼ぎ、広告収入や情報商材の売上に繋げる。それが、彼らのビジネスモデルの根幹である。

では、人間のアテンションを、最も簡単かつ強力に惹きつけるものは何か。 それは、「恐怖」と「不安」だ。

「今後も、世界経済は年率数パーセントで、穏やかに成長し続けるでしょう」 「S&P500は、10年後、今より高い位置にいる可能性が高いでしょう」 という、退屈で、しかし真実に近い楽観予測と、

「リーマンショック級の危機が再来!あなたの資産は半分になる!」 という、刺激的で、しかし確率の低い悲観予測。

どちらが、あなたのクリックする指を動かすだろうか。答えは明白であろう。 彼らは、人間の本能的な弱さを、知り尽くしているのだ。

彼らがやっていることは、短期的に得られる金(インプレッション)のために、投資家の「冷静さ」と「未来への希望」という、最も大切な魂を奪い去る行為に他ならない。彼らの目的は、あなたの資産を守ることではない。彼ら自身の懐を、あなたの不安を燃料にして、温めることなのである。

2. 我々の脳に刻まれた「恐怖」への偏愛

なぜ、我々はこれほどまでに、悲観的な予測に心を揺さぶられてしまうのか。 それは、我々の脳が、そのように設計されているからだ。

我々の祖先は、危険に満ちたサバンナを生き抜いてきた。 茂みがガサガサと揺れた時、「まあ、ただの風だろう」と楽観した祖先は、ライオンに喰われて、その遺伝子を残すことができなかった。「ライオンかもしれない!」と過剰に反応し、逃げ出した臆病な祖先だけが、生き残り、我々の遠い親となった。

つまり、我々の脳には、楽観的な情報よりも、悲観的で、脅威となりうる情報を、何倍も重視する「ネガティビティ・バイアス」が、生存戦略として、深く刻み込まれているのだ。

この、サバンナで有効だった生存本能が、現代の金融市場においては、我々の資産を蝕む、最大のバグとなっている。 10%の資産上昇がもたらす喜びよりも、10%の資産下落がもたらす恐怖の方が、何倍も強く感じられる。市場の暴落を叫ぶ者たちは、この我々の脳の「バグ」を、意図的に、そして冷酷に突きに来る。

この生物学的な事実を、まず自覚すること。 「今、自分が感じている恐怖は、合理的な分析の結果ではなく、太古から続く、生存本能の“誤作動”なのだ」と理解すること。それが、彼らの呪縛から逃れるための、第一歩となる。

3. 航路を守れ!「鬼ホールド」という名の、唯一の正解

では、恐怖の商人たちの声が鳴り響き、自分自身の脳が警報を鳴らし始めた時、我々はどう行動すべきか。

答えは、「鬼ホールド」。 ただの「保有」ではない。「何があっても売らない」という、鋼の意志を持って、保有し続けること。それは、一度自分で決めた、合理的で長期的な計画を、短期的な感情のノイズから守り抜くという、極めて知的な戦闘行為である。

あなたの投資戦略は、冷静で、合理的なあなたが、穏やかな天候の日に、綿密な海図とデータに基づいて設定した「航路」のはずだ。 「S&P500やオルカンを、毎月定額で、20年間積み立てる」 「VYMやHDVを買い続け、配当金を再投資し、キャッシュフローを育てていく」

それは、あなたが、あなたの人生の船長として、下した最善の判断である。

一方で、暴落を叫ぶ者たちの声は、嵐の夜に、船を座礁させようと誘う「セイレーンの歌」に他ならない。その美しい歌声に耳を傾け、急に舵を切れば、あなたの船は、確実に岩礁に乗り上げるだろう。

優れた船長は、セイレーンの歌に惑わされない。自分の決めた航路と、手元の羅針盤だけを信じる。

特に、インデックス投資や高配当株式投資という戦略は、その成功が「長期保有」と「複利効果」という、時間の魔法に完全に依存している。途中で船を降りてしまえば、これまでの航海の意味が失われ、目的地に到達することは永遠にできなくなる。

市場の暴落は、長期投資家にとって、船を降りる理由にはならない。 むしろ、優良な資産を、割引価格で買い増せる「絶好のバーゲンセール」なのである。

4. 私が実践する、”外界”との健全な距離の取り方

「鬼ホールド」の意志を貫くためには、日々の具体的な習慣が不可欠だ。ここでは、僕自身が実践している、外界のノイズから心を守るための方法を紹介する。

  1. 情報源を、意図的に「選別」する まず、あなたのタイムラインから、「恐怖の商人」を追放することだ。彼らのチャンネル登録を解除し、アカウントをミュートし、ブロックする。情報も、食事と同じだ。ジャンクフードばかり食べていては、心も体も不健康になる。穏やかで、長期的で、データに基づいた発信をする、信頼できる情報源だけを、意図的に選ぶ。
  2. 投資を、可能な限り「自動化」する 意志の力に頼ってはいけない。毎月、給料日に、決まった額が自動で証券口座に送金され、決まった投資信託やETFが買い付けられるように、「積立設定」をしてしまう。一度設定してしまえば、あとは忘れるだけだ。市場が熱狂していようが、パニックに陥っていようが、あなたの資産形成は、感情の介在なく、淡々と進んでいく。
  3. 口座の確認を、「習慣化」しない 毎日、自分の資産評価額をチェックする行為は、百害あって一利なしだ。それは、ランダムに感情を揺さぶるだけの「スロットマシーン」を、自ら回しに行っているようなものである。口座の確認は、月に一度、あるいは四半期に一度と、自分でルールを決める。市場の短期的なノイズとの接触を、物理的に遮断するのだ。

結論:あなたの資産は、誰のものか

暴落を叫ぶ者たちは、あなたの恐怖を収益源とし、あなたの資産のコントロール権を奪おうとしている。 あなたの脳に刻まれた生存本能は、合理的な判断を曇らせ、短期的なパニック行動へとあなたを駆り立てる。

しかし、忘れてはならない。 あなたの資産の未来を決める権利は、あなた以外の誰にもない。 その貴重な決定権を、他人の雑音や、自分自身の古い感情に、明け渡してはならないのだ。

船長は、あなただ。 嵐の中で、羅針盤を信じ、微動だにせず舵を握りしめる。 その覚悟こそが、あなたを、そしてあなたの資産を、約束の地へと導く、唯一の力なのである。

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