新興国に投資すべきと言われたことないか?
でも、新興国株式は素人が手を出さん方がええで。
新興国は急速な経済成長を遂げています。
そのため、「新興国に投資すべき」という子声もある反面、「新興国株式は不要」といった意見もあります。
結論から言うと、私は新興国株式は素人には不要だと思います。
そこで今回は、新興国株式インデックス不要論の意見をもとに、新興国への投資姿勢等についても解説していきます。
新興国株式インデックスが不要な理由
新興国株式への投資を不要と考える理由は「何年投資しても株価が全然上がらないから」の1点です。
私も5年間ほど新興国株式インデックスを積み立て投資をしていましたが、まったく利益が出ていませんでした。
新興国への投資には次のようなイメージを持ってる人も多いです。
- 著しい経済成長
- 株価の大幅な上昇
しかし、経済成長をしていたとしても株価が上がっていないことが多いです。
次からは、新興国の株価が上がらない理由について解説していきます。
経済成長と株価上昇は比例しない
新興国株式の推移
経済成長著しい国の株価は急上昇していると思いがちですが、そうではありません。
このチャートは、新興国23ヶ国、800銘柄以上の株式に投資できるVWOというETFのものです。
リーマンショック、コロナショック時の下落はあるものの、値上がりしても60USDを超えることができず、横ばいのまま推移しています。
つまり、株価が全然伸びていません。
アメリカ(S&P500)の推移
対して、世界最大の経済大国であるアメリカの株価推移を見ていきましょう。
ご覧の通り、右肩上がりで近年は大きな上昇局面を迎えています。
アメリカは2度の世界大戦・ITバブル・リーマンショックなど、さまざまな局面を乗り越えてきた歴史があります。
株式市場のルールが整備されていない
株式市場では、適切なルールが整備されていなければなりません。
しかし、新興国の中には次のような問題が頻繁に起こっており、適正に処置されていない場合があります。
- インサイダー取引
- 政治介入
- 不正会計
- 賄賂
そもそも投資家は企業が発表する決算資料を判断材料として投資しています。
しかし、不正会計や政治介入などがあると、意図せぬ損失を受けるケースが起こりえます。
チャイナリスクは以前から認識されていますが、直近でも政府介入による影響が起こっています。
IT企業への統制強化が断行される
昨年来、中国当局はIT業界に対する統制強化をにわかに強めている。その起点となったのは、EC最大手のアリババグループ傘下で決済アプリであるアリペイを提供するアント・グループの昨年11月の上場延期だ。その後、アント・グループの金融ビジネスは、事実上解体されようとしている。
出典:NRI 中国企業への統制拡大でチャイナリスクが急浮上
このように、新興国への投資は株式市場に明確なルールが整備されていなかったり、政治介入があったりといった事を認識しておく必要があります。
投資家が安心して投資を継続できる環境にないため、資金が集まらず、株価も伸び悩むといった状況にあるのです。
為替リスク(通貨安リスク)がある
新興国の通貨は、通貨安が起こりやすいです。
上記表は対米ドルとの為替相場推移ですが、経済成長を遂げていたとしても通貨安が起こっていては、投資リターンはマイナスになってしまうこともあります。
新興国の株価指数が成長していないと先述しましたが、通貨安もこの理由の一つです。
外国へ投資をする場合は、為替リスクがあることを認識しておかなければなりません。
世界の基軸通貨たる米ドルや円やユーロは安定していますが、それ以外の通貨はこういったリスクがあります。
新興国の経済成長は先進国が支えている
新興国は経済発展を続けています。
しかし、新興国の経済成長は先進国が支えているという事実を忘れてはいけません。
- マクドナルド(アメリカ)は全世界で営業している
- スマホのOSはiPhoneとAndroid(ともにアメリカ)の独壇場
- 車はトヨタ(日本)、メルセデスベンツ(ドイツ)が世界で売れている
- FacebokやInstagram(アメリカ)は全世界の人々が利用している
- ルイヴィトン(フランス)のバッグは世界中で売れている
このような世界的に有名な企業は、当然新興国へも進出しています。
その結果、先進国のグローバル企業は、売上を拡大し続け、株価を押し上げています。
未来は誰にも分からない
新興国への投資を不要と論じてきましたが、逆の視点から見てみましょう。
投資の世界では未来は誰にも分かりません。
分かる人が居るのであれば、それは超能力者か嘘つきです。
新興国の成績が悪かったのは、ここ20年程の話です。
今後も成績が悪い状況が続くかというと全く分かりません。
長期投資をする場合は、過去だけではなく未来のことも考えていかなければなりません。
新興国が大きなリターンをもたらすかもしれない
こちらの図は、毎年のリターンの順位を表したものです。
このように、各資産ごとのリターンは毎年変わっているので、一番収益が上がる資産を見極めることは非常に困難です。
今は先進国のリターンが大きいですが、今後は新興国の方が大きなリターンをもたらすかもしれません。
長期目線で投資をする場合は、直近のリターンの数字ばかりに囚われず、広い視野で考えていく必要があります。
折衷案は全世界(オールカントリー)に投資する
結局のところ、今後どの国が覇権を握り、どの国が成長を遂げるのかは全く分かりません。
あなたが信じる未来を予測するしかないのです。
こう言われると迷ってしまう人も多いと思います。
もし迷ってしまうのであれば、次ように考えてみて下さい。
- 先進国が今後も成長し続けると思う→新興国への投資はしない
- 新興国が今後成長すると思う→新興国へ投資をする
- どっちが成長するか分からない→全世界へ投資をする
どっちが成長するか判断できない場合は、全世界(オールカントリー)への投資をすることをおススメします。
これならば、先進国だけではなく新興国へも投資ができるため、世界経済の成長の果実を享受することができます。
どちらかを選ぶのではなく、どちらも選ぶといった選択肢もあります。
オールカントリーについてはこちらの記事でも紹介していますので、ぜひご覧ください。
まとめ
新興国インデックスへの投資不要論を斬ってきましたが、やはり素人にはオススメしません。
先に述べた通り、新興国は経済成長しているのに、株価は上がらずといった不思議な状況です。
株価が上がらないのは次のような要因が考えられます。
- 経済成長と株価上昇は比例しない
- 株式市場のルールが整備されていない
- 為替リスク(通貨安リスク)がある
- 新興国の経済成長は先進国が支えている
しかし、今後は誰にも分かりません。
もしかしたら新興国に投資していなかったことを後悔する日が来るかもしれません。
後悔することのないように、納得できる決断をしてきましょう。