あなたの“頭の容量”は有限である
私たちは、人生を通じて資産を積み上げることに心血を注ぎます。お金や株式、そしてスキルといった目に見える資産を一つでも多く手に入れるために。
しかし、もしあなたが気づかぬうちに、その最も重要な資産である「クリアな思考」を不要な“ガラクタ”によって蝕まれているとしたらどうでしょうか。
そのガラクタの名は「使っていない銀行口座」です。
引き出しの奥でホコリをかぶった古い預金通帳や、もはや、ログインパスワードすら思い出せないネット銀行の口座。それらは一見すると、無害な存在に見えるかもしれません。
しかし私は断言します。それらは、あなたの精神的なエネルギーと時間を静かに、しかし確実に盗み続ける“静かなる泥棒”なのです。
この記事はそんな私が、いかにして、その泥棒を自らの人生から追放したか。そして、その過程で味わった壮絶な「手続き地獄」の実体験と、あなたがなぜ今すぐその重い腰を上げるべきなのか。そのたった一つの、しかし何よりも重要な理由についての物語です。
「口座解約」という名の重労働
先日私は長年放置していたみずほ銀行の古い口座を二つ解約することに決めました。
簡単な手続きだろうと考えていましたが、それが大きな間違いでした。
まず、多くのメガバンクの口座解約は窓口でしか受け付けてくれないケースがほとんどです。
そしてその窓口はいつだって長蛇の列。私はその日、会社の貴重な半休を使う羽目になりました。
予約もせずに乗り込んだ私が愚かだったのです。
あなたに一つ私の失敗から学んでほしい。もし銀行窓口へ行く必要があるなら、絶対にウェブサイトから来店予約をしてください。
あの無益な待ち時間を再び経験するくらいなら、私は喜んで一万円を払います。
結局、全ての手続きが終わるまでに半日近い時間がかかりました。
たった二つの口座を閉じるためだけに。
証券口座の場合はネットや書面で手続き可能なことが多いのでまだ救いがあります。
しかし、いずれにせよこの口座解約という行為が、私たちの貴重な資源をいかに無慈悲に奪い去っていくか、私はその事実を骨の髄まで思い知らされたのです。
私がたどり着いた「2+1」という仕組み
この痛恨の経験を経て、私は自らの金融口座の仕組みを究極までシンプルにすることを決意しました。 私がたどり着いた最適解。
それは「銀行口座2つ、証券口座1つ」という布陣です。
- 銀行口座①：「決済用」口座 給料が振り込まれクレジットカードや公共料金が引き落とされる、日々の生活資金が流れる口座です。ここには常に最低限のお金しか入れません。
- 銀行口座②：「防衛用」口座 生活費の1年〜2年分を確保しておくための現金置き場です。これは暴落時の精神安定剤であり予期せぬリスクへの「備え」です。普段は決して手をつけません。
- 証券口座①：「育成用」口座 NISAやiDeCoそして課税口座での投資信託や株式。私の未来の資産を育てるためのただ一つの場所です。
これだけです。これ以外の口座は全て不要な複雑さであり、あなたの思考を鈍らせる雑音です。
それはあなたのためではなく、愛する人のためである
「面倒くさい」 「いつかやろう」
そう思うあなたの気持ちは分かります。
しかし最後に、私があなたに伝えなければならない、最も重要な事実があります。
この面倒な「口座解約」という作業。それはもはやあなたのためだけのものではありません。
想像してみてください。
もしあなたが明日突然この世を去ってしまったとしたら。残されたあなたの家族。
彼らは深い悲しみの中で、あなたが所在すら忘れていた無数の口座の「捜索」を始めなければなりません。
どの銀行に口座があるのか。どの証券会社で取引をしていたのか。
その一つひとつを調べ上げ、相続のための複雑で煩雑な手続きに奔走する。
あなたは愛する家族に、そんな「重労働」を最後の“遺産”として残していきたいですか？
使わない口座を今解約すること。それはあなたの頭の中を整理するだけの行為ではありません。
それはあなたの家族に対する最後のそして最大の「愛情表現」なのだと、私は思います。
結論：あなたの“人生”という名の、部屋の大掃除
あなたの頭の中はあなたの人生そのものです。
その大切な部屋が使わないガラクタで溢れかえっていては、新しい素晴らしいものは入ってきません。
口座を整理することはあなたの人生を整理することです。
それは過去のしがらみを断ち切り、より身軽にそしてよりシンプルに、未来へと歩き出すための神聖な「儀式」なのです。
さああなたも重い腰を上げ、引き出しの奥で眠っている古い通帳と向き合いましょう。
その面倒な一歩の先にこそ、あなたが本当に求める、クリアでそして穏やかな人生が待っているのですから。