その“社内評価”、会社の外で通用しますか？
「うちの会社では、そこそこ評価されている」 「今の部署では、頼りにされている方だ」
僕たちは、知らず知らずのうちに、所属する会社という名の「村」の中での評価を、自分の価値そのものであるかのように錯覚してしまう。しかし、その評価は、本当にあなたのものだろうか。
もし、明日、新型コロナウイルスのような未曾有の危機が再び訪れ、その「村」そのものが消滅してしまったとしたら。あなたの価値を証明してくれるものは、一体何が残るのだろうか。
僕たちは、VUCAと呼ばれる、あまりにも不確実で、予測不可能な時代を生きている。もはや、「大企業だから安心」という神話は崩れ去り、安全地帯など、この世界のどこにも存在しない。
この記事は、そんな時代を生きる僕たちが、会社という一つのシステムへの依存から脱却し、いかなる環境変化が起きようとも、自らの足で立ち、豊かに生き抜くために、絶対に身につけなければならない「市場価値」という概念について、その本質と、具体的な高め方を、僕なりの視点で再定義するものである。
これは、単なる転職のためのテクニックではない。あなた自身の人生の主導権を、会社から自分自身の手に取り戻すための、静かなる革命のすすめだ。
第一章：なぜ「社内評価」だけでは、もう生き残れないのか
なぜ、僕たちは「社内での価値」だけでなく、「市場価値」を意識しなければならないのか。その理由は、二つの大きな構造変化にある。
① 会社は「永住地」から「一時的なプラットフォーム」へ
かつての日本企業は、従業員の人生を丸ごと面倒見る「永住地」としての機能を果たしていた。しかし、終身雇用の崩壊と共に、その関係性は大きく変わった。 現代の会社は、僕たちにとって、スキルと経験を積み、対価を得るための「一時的なプラットフォーム」に過ぎない。そのプラットフォームが傾けば、僕たちは否応なく、次のプラットフォームを探さなければならない。その時、古い村でしか通用しない「名主」のような存在であったとしても、新しい村では、ただの無力な旅人でしかないのだ。
② 成果主義は、「自律した個人」の時代の幕開け
コロナ禍を経て、テレワークは働き方の選択肢として定着した。「頑張っている姿」が見えにくいこの環境は、必然的に「成果主義」への移行を加速させる。 これは、会社にぶら下がっていた人々にとっては厳しい時代の始まりを意味する。しかし、裏を返せば、会社というシステムに依存せず、自らの実力で価値を生み出せる「自律した個人」にとっては、これ以上ない追い風が吹いている、ということでもある。 社内政治や、上司へのご機嫌伺いではなく、純粋な「実力」が評価される時代。それは、市場価値の高い人間が、社内においても正当に報われる時代の幕開けなのだ。
第二章：「市場価値」という名の“個人資本” - その正体とは？
では、その「市場価値」とは、一体何によって構成されているのか。僕は、これからの時代を生き抜くためには、もう一つの重要な要素があると考えている。
市場価値 = （専門性 × 経験） × 思考OS
① 専門性 × 経験：あなたの“武器”とその“戦歴”
これは、市場価値の核となる部分だ。
- 専門性： 他の会社でも通用する、体系化された知識やスキル。
- 経験： その専門性を活用し、実際にどのような課題を解決し、どのような成果（実績）を上げてきたかという物語。
重要なのは、この二つが「掛け算」であるということだ。どれだけ高い能力を持っていても、それを活かした実績がなければ、宝の持ち腐れ。逆に、どれだけ輝かしい実績があっても、その背景にある成功のロジックを言語化できなければ、「たまたま運が良かっただけ」と見なされてしまう。
② 思考OS：すべての土台となる「ポータブルスキル」
そして、この「専門性×経験」という強力なエンジンを駆動させるのが、「思考OS」、すなわち、「ポータブルスキル」だ。
論理的思考力、問題解決能力、仮説思考、人を巻き込む力…。これらのスキルは、特定の業界や職種に依存しない、あらゆるビジネスの土台となる。OSが脆弱であれば、どれだけ高性能なアプリケーション（専門性）をインストールしても、その性能を十分に引き出すことはできない。
20代は、何よりもまず、この「思考OS」のインストールとアップデートに、全リソースを集中投下すべきだ。 圧倒的な基礎能力こそが、30代以降のキャリアの選択肢を、爆発的に広げてくれる。
第三章：20代、30代で実践すべき、市場価値向上のための戦略的投資
では、この「市場価値」という名の個人資本を、年代ごとにどうやって築き上げていけばいいのか。
▼ 20代の戦略：「能力」への集中投資と、「質の高い失敗データ」の収集
20代は、経験が少ない分、失敗のコストが極めて安い、人生のボーナスステージだ。この時期にやるべきは、「能力」、特に「思考OS」への徹底的な自己投資である。 そして、その学びを、実践の場で試すことを恐れてはならない。「大きな失敗をする」とは、無謀な挑戦をしろということではない。それは、挑戦の先にしか得られない「質の高い失敗データ」を、誰よりも多く収集しろ、ということだ。20代で得た失敗のデータは、30代以降の大きな成功の、最も重要な糧となる。
▼ 30代の戦略：「経験の価値」の最大化と、自分という“商品”の言語化
30代は、20代で築いた能力をテコに、「経験の質と厚み」で勝負するステージだ。より困難なプロジェクト、より責任の重い役割に積極的に手を挙げ、自分にしか語れない「実績」という名の物語を紡いでいく。 そして、その物語を、「なぜ成功したのか」というロジックで、誰にでも説明できるように言語化する訓練を怠ってはならない。これが、あなたの市場価値を客観的なものへと変える、極めて重要なプロセスだ。
これらの経験と知識はMBAで取得することが可能。
僕はグロービスに通っている。紹介者制度を利用し説明会に出席いただくとAmazonギフトカードをもらえるので、もし興味があれば、sonnaseikatsu＝gmail.comまで連絡してほしい。
迷惑メール対策で@を＝と表示しているので「@」に変更しての送信をお願いします。
市場価値とは、「自由」へのパスポートである
ここまで、市場価値の重要性とその高め方について語ってきた。しかし、僕が本当に伝えたいのは、その先にあるものだ。
市場価値を高めることの最終目的は、高い給料を得ることや、有名企業に転職することだけではない。 その本質は、会社という一つのシステムへの依存から自らを解放し、働く場所、時間、内容、そして誰と働くかを、自らの意思で選択できる「自由」を手に入れることにある。
それは、理不尽な命令に「NO」と言える自由。 心から「納得」できる仕事を選ぶ自由。 そして、自分の人生のハンドルを、自分自身の手で握りしめる自由。
市場価値とは、その自由な世界へと旅立つための、あなただけの「パスポート」なのだ。 さあ、あなたも、自分だけのパスポートを、今日から作り始めようじゃないか。