NISA

【Fear & Greed Index(恐怖と強欲指数)】恐怖と強欲指数で、大衆の“逆”を行け

あなたは、市場の“感情”に、支配されていないか?

株式投資とは、突き詰めれば、人間の「感情」との戦いだ。 市場が熱狂に包まれ、誰もが「もっと上がる」と信じている時、自分も乗り遅れまいと焦って買い向かってしまう「強欲(Greed)」。 逆に、市場が暴落し、誰もが「もう終わりだ」と絶望している時、恐怖に駆られて、大切な資産を投げ売りしてしまう「恐怖(Fear)」。

ほとんどの個人投資家が、この二つの巨大な感情の波に翻弄され、資産を失っていく。「安く買って、高く売る」という、あまりにもシンプルな原則の、真逆をやってしまうのだ。

では、どうすれば、この感情の支配から逃れられるのか。 そのためには、まず、市場全体の感情が今、どちらに振れているのかを客観的に知るための「羅針盤」が必要だ。僕が、その一つとして注目しているのが、CNNが公表している「Fear & Greed Index(恐怖と強欲指数)」である。

「恐怖と強欲指数」が示す、現在の“市場の体温”

これが、現在の「恐怖と強欲指数」だ。

見ての通り、現在の市場は「56」。メーターの針は、明らかに「Greed(強欲)」の領域を指している。 1ヶ月前の「77(Extreme Greed / 極度の強欲)」からは少し落ち着いたものの、1年前の「33(Fear / 恐怖)」の状態とは、全く景色が違うことがわかるだろう。

つまり、今の市場は、総じて楽観的であり、多くの参加者が「これからも上がるだろう」と信じ、積極的にリスクを取っている状態だと言える。

では、この「市場の体温計」を、僕たち個人投資家は、どう活用すべきなのか。 僕の戦略は、驚くほどシンプルだ。

僕の、たった一つのシンプルな“逆張り”ルールブック

この指数を見た上で、僕が下す判断は、常に決まっている。それは、ウォーレン・バフェットの有名な言葉「皆が貪欲になっている時に臆病になり、皆が怖がっている時に貪欲になる」を、自分なりに解釈し、システム化したものだ。

ルール①:基本の“積立”は、感情を排して、淡々と続ける

まず、大前提として、僕の資産形成の核である「新NISAのつみたて投資枠」でのインデックス投資は、市場が強欲だろうが、恐怖に包まれようが、一切、何も変えない。 これは、僕の人生を支えるための、長期的な「規律」だ。市場の短期的な感情とは無関係に、ただ、淡々と、自動的に、買い増しを続ける。

ルール②:市場が「強欲」に染まっている時(今のような時)は、“何もしない”

指数の針が「Greed」を指している今、僕がNISA枠以外でやることは、ただ一つ。 「何もしない」ことだ。

僕は、NISA枠を埋めたら、それ以上の追加投資は、一切行わない。 なぜなら、市場が楽観に包まれている時は、株価は、その本質的な価値以上に、期待や熱狂によって押し上げられている可能性が高いからだ。ここで焦って買い向かうのは、高値掴みになるリスクを、自ら背負いに行くようなものだ。 今は、攻める時ではない。来るべき「チャンス」のために、現金(弾薬)を温存し、ただ、静かに待つ時なのだ。

ルール③:市場が「恐怖」に沈んだ時、初めて“買い”に向かう

では、いつ、その弾薬を使うのか。 それは、この指数の針が「Fear(恐怖)」、あるいは「Extreme Fear(極度の恐怖)」の領域に振り切れた時だ。

その時、テレビのニュースは、連日、株価暴落のニュースを流すだろう。SNSには、阿鼻叫喚の投稿が溢れるだろう。友人たちは、「もう投資なんてやめた方がいい」と、あなたに忠告してくるかもしれない。

それこそが、絶好の「買い場」のサインだ。

大衆が恐怖に駆られて、優良な資産を、パニック的に投げ売りしている。その時こそ、僕たちが、温存してきた現金で、それらを安く、冷静に、拾い集める時なのだ。

そして、もし、僕がNISAの積立を続けている、まさにその最中に、市場が「恐怖」に包まれたとしたら? それは、僕にとって「儲けもの」でしかない。僕が設定した自動積立システムが、僕の感情とは無関係に、割安になった資産を、勝手に買い増してくれるのだから。

あなたは、市場の“養分”か、それとも“狩人”か

この戦略の根底にあるのは、僕の人生観そのものだ。 多くの人は、市場の感情の波に乗り、その一部になろうとする。その結果、彼らは、より賢い投資家のための「養分」となって、資産を失っていく。

しかし、僕たちが目指すべきは、その逆だ。 市場の感情を、客観的なデータとして冷静に分析し、その感情の波を、自らの利益のために利用する「狩人」になるのだ。

大衆の熱狂を、自分の「売り時」あるいは「何もしない時」の参考にし、 大衆の恐怖を、自分の「買い時」の、最高のシグナルとする。

これは、単なる投資テクニックではない。 他人の感情や、社会の空気に流されず、自分だけの「自律」した判断軸を持ち、物事の本質を見抜く「戦略的思考」の実践そのものなのだ。

結論:羅針盤を手に、静かに待て

「恐怖と強欲指数」は、未来を100%予測する、魔法の水晶玉ではない。 しかし、それは、僕たちが、自分自身の内なる「恐怖」と「強欲」をコントロールするための、極めて強力な“羅針盤”となってくれる。

今、市場は「強欲」に満ちている。 焦る必要は、どこにもない。 やるべきことは、ただ一つ。

規律ある積立は、淡々と続けよ。 そして、余剰の弾薬は、温存せよ。 大衆の熱狂が冷め、世界が悲観に染まる、最高の“狩りの季節”が訪れるのを、静かに、そして、心待ちにしていればいい。

-NISA