高配当株投資

【あえて日本の高配当株を買わない理由】VYMと徹底比較して見えた、米国高配当株投資の“絶対的な”優位性

その“郷愁”、あなたの“資産”を、蝕んでいませんか?

「高配当株投資を、始めたい」 そう考えた時、僕たち日本人投資家の脳裏に、まず、浮かぶのは、どんな企業の名前だろうか。 NTT、三菱商事、あるいは、メガバンク…。僕たちの生活に、深く、そして、長く、根差してきた、慣れ親しんだ、日本の大企業たち。

「よく知っている企業だから、安心だ」 「日本円での投資だから、為替リスクもない」

その感覚は、痛いほどわかる。 しかし、僕は、あえて、断言する。 その、「安心感」や「郷愁」こそが、あなたの資産形成を、長期的に、そして、静かに蝕んでいく、最も、危険な“罠”なのだ、と。

僕の、高配当株ポートフォリオの、その中核を成すのは、日本株ではない。 僕が、自らの資産の、未来を託しているのは、アメリカの、約460社の、優良企業群で構成された、「VYM(バンガード・米国高配当株式ETF)」という、一つの乗り物だけだ。

この記事は、そんな僕が、なぜ、母国であるはずの「日本株」を、あえて選ばないのか。 その、感傷を、一切排した、極めて、ドライで、しかし、残酷なまでに、合理的な「3つの理由」について、徹底的に、解説するものである。

第1ラウンド:【増配率】“育つ”年金と、“しぼむ”年金

僕たちが、高配当株投資に、本当に求めるべきものは、何だろうか。 目先の、高い「配当利回り」だろうか。 違う。

僕たちが、本当に、求めるべきは、「毎年、もらえる配当金の額が、着実に、増え続けていくこと」、すなわち、「増配率」の高さだ。 なぜなら、僕たちが、今、作っているのは、インフレという名の、静かなる“敵”と、戦い続けられる、“育つ年金”でなければ、意味がないからだ。

そして、この「増配」という、一点において、日米の企業には、絶望的なまでの「文化の違い」が存在する。

日本企業の、現実

日本の多くの企業にとって、「配当」とは、あくまで「業績が良かった時に、余った利益の一部を、株主に、還元してあげる」という、“おすそ分け”に近い。 そのため、業績が悪化すれば、いとも簡単に、配当は、減らされ、あるいは、ゼロになる(減配・無配)。 株主への、安定的、かつ、継続的な還元への「コミットメント」が、根本的に、希薄なのだ。

米国企業(VYM)の、現実

一方で、米国、特に、VYMに組み込まれているような、成熟した大企業にとって、「増配」とは、株主に対する、絶対に破ってはならない「聖なる誓い」に等しい。 数十年にわたり、一度も、減配することなく、配当を、増やし続けてきた「配当王」「配当貴族」と呼ばれる、企業群。 彼らにとって、減配することは、自らの経営能力のなさを、市場に、白状するような、最大の“恥”なのである。

その結果、どうなるか。 過去10年間の、平均増配率を、比較すれば、その差は、歴然だ。 VYMが、安定して、高い増配率を、維持し続けているのに対し、日経平均株価の、それは、見劣りする。

日本の高配当株に投資することは、いつ、給料が下がるか分からない、不安定な会社に、勤めるようなものだ。 VYMに投資することは、毎年、着実に、給料を上げてくれる、超優良企業に、勤めるようなものなのだ。

君は、どちらの“会社”に、君の、老後を、託したいだろうか?

第2ラウンド:【市場成長性】“追い風”の海と、“無風”の沼

配当金(インカムゲイン)が、僕たちの生活を、潤す「果実」だとすれば。 株価そのものの上昇(キャピタルゲイン)は、その果実を実らせる「幹」の、成長だ。 いくら、果実が実ろうとも、幹、そのものが、成長しなければ、僕たちの資産は、本当の意味で、豊かにはならない。

そして、この「幹の成長」、すなわち、市場全体の、長期的な成長性において、日米の間には、もはや、覆すことのできない「構造的な差」が、横たわっている。

日本市場の、現実

「失われた30年」。 僕たちは、この言葉を、聞き飽きたかもしれない。しかし、これが、僕たちが、直視しなければならない、現実だ。 人口減少、超高齢化、そして、新しい挑戦を恐れる、硬直化した、企業文化。 日本の株式市場は、まるで、風のない、淀んだ“沼”のように、長期的な、停滞を、続けている。 この沼の中で、大きく成長できる船は、ごく、一部の、天才的な船頭が操る、小さなボートだけだ。

米国市場の、現実

一方で、アメリカは、どうか。 世界中から、優秀な移民を受け入れ、人口は今もなお増え続けている。 GAFAMに代表される、世界のルールを根底から変えるイノベーションが、次々と生まれている。 そして、「米ドル」という、世界の基軸通貨が世界中の富を、アメリカへと、吸い寄せ続けている。 米国の株式市場は、力強い“追い風”が、常に吹き続ける、広大な“大海原”なのだ。

この大海原では、VYMという名の、少し退屈な、しかし、巨大で、頑丈な「大型客船」に乗っているだけで、僕たちの資産は、潮の流れに乗って、自然と、未来へと、押し上げられていく。

沼の中で、必死で、オールを漕ぎ続けるか。 大海原で、追い風を受け、優雅に、クルーズを、楽しむか。 その選択は、あまりにも、明白ではないだろうか。

第3-ラウンド:【分散】“国家”への、集中投資と、“世界”への、分散投資

そして、これが、僕が、日本株を選ばない、最も、決定的な理由だ。 それは、「リスク分散」という、投資における、最も、基本的な、鉄則に関わる問題である。

もし、君が、日本に住み、日本企業で働き、日本円で、給料をもらっているのだとしたら。 君の人生は、すでに、その、99%が、「日本」という、たった一つの国の、運命に、依存している。

その上で、なけなしの資産まで、すべて「日本株」に、投資する。 それは、分散投資ではない。それは、君の人生の、すべてのカードを、「JAPAN」という、一枚の、チップに、賭ける、狂気の“一点賭け”なのだ。 もし、この国が、大地震や、財政破綻といった、未曾有の危機に見舞われた時、君の資産は、君の人生と、共に、沈没する。

一方で、VYMに投資することは、何か。 それは、アメリカという、別の、そして、より強靭な「国家」に、資産を、分散させる、という、極めて、賢明なリスクヘッジである。

さらに言えば、VYMに、組み込まれている、P&Gや、コカ・コーラといった企業は、もはや、単なるアメリカ企業ではない。 彼らは、世界中に、製品と、サービスを、提供し、世界中から、富を、集めている「グローバル企業」だ。 VYMに投資することは、事実上、世界の、成長の、果実を、享受することに、等しい。

日本株への投資は、君のリスクを、“凝縮”させる。 VYMへの投資は、君のリスクを、“分散”させる。 これが、僕の、最終的な、結論だ。

結論:感傷を、捨てろ。合理性を、選べ。

「日本の企業を、応援したい」 その、愛国心にも似た、感傷的な気持ちは、美しい。

しかし、投資とは、感傷で、行うものではない。 それは、君の、そして、君の大切な人の、未来を守るための、極めて、冷徹で、合理的な「判断」の、連続だ。

  • より、株主への還元意識が、強いのは、どちらか。
  • より、市場全体が、成長し続ける、可能性が高いのは、どちらか。
  • より、君の、人生のリスクを、分散してくれるのは、どちらか。

この、三つの問いに対して、君自身の、知性と、論理が、導き出す答え。 それこそが、君が、本当に、信じるべき、唯一の「正解」なのだ。

僕は、僕の、合理性が、導き出した答えに、従う。 だから、僕は、これからも、日本株ではなく、VYMを、買い続ける。 僕の、大切な資産を、そして、僕の、一度きりの人生を、守り抜くために。

-高配当株投資