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「毎月積立」の“思考停止”が生む、インデックス投資家の悲惨な末路。- 僕が考える、最良の「出口戦略」

その“ゴールテープ”、本当に、君が望んだ場所にあるか?

「ただ、全世界株式(オルカン)か、S&P500を、思考停止で、積み立て続けろ」

これは、現代の資産形成において、もはや、神の言葉にも等しい、絶対的な“正義”として、語られている。 僕も、その正しさを、信じて疑わない。そして、その規律を、自らに課し、資産という名の、小さな砦を、築き上げてきた。

しかし、その砦の壁が、1000万円、2000万円と、高くなるにつれて。 僕の心の中には、かつては、存在しなかった、新しい、そして、より根源的な「恐怖」が、芽生え始めたのだ。

「で、この後、どうするんだ…?」 「この、ただの画面上の“数字”を、一体、いつ、どうやって、僕の人生の“血肉”に、変えればいいんだ?」

この記事は、そんな僕が、「積み立てる」という、快適な“思考停止”から、一歩、踏み出し、多くの投資家が、見て見ぬふりをしている、「出口戦略」という名の、あまりにも、難解で、しかし、避けては通れない“最後の問い”と、どう、向き合っているかについての、僕なりの、中間報告である。 そして、なぜ、世間で、金科玉条のように語られる「4%ルール」が、僕たちにとって、“最高の罠”になりかねないか。その、不都合な真実についても、語ろうと思う。

4%ルールという名の、美しい“祈り” - なぜ、僕たちは、それに、人生を賭けられないのか

「出口戦略」について、調べ始めると、僕たちは、必ず、一つの、美しい“法則”に、出会う。 「4%ルール」だ。

「年間の生活費の、25倍の資産を築けば、毎年、資産の4%ずつを、取り崩していくことで、資産を、枯渇させることなく、暮らしていける」

なんと、シンプルで、力強い、福音だろうか。 僕たちの、漠然とした不安に、明確な「ゴール(資産額)」と、「方法(取り崩し方)」を、与えてくれる。

しかし、僕は、この、あまりにも有名な法則を、「アメリカの過去のデータに基づいた、一つの、美しい“祈り”」に過ぎない、と考えている。 そして、その“祈り”だけに、僕の、たった一度の人生の、すべてを、賭けることは、到底、できない。

①「暴落の“順番”」という、運命のサイコロ

4%ルールが、機能するための、最大の前提。それは、君が、資産を取り崩し始める「最初」の数年間に、大規模な、市場の暴落が、起きない、ということだ。 もし、不運にも、君が、リタイアした、その翌年に、リーマンショック級の、大暴落が起きたとしたら。 君の資産は、回復の機会を得られないまま、初期段階で、大きく目減りし、4%ルールは、あっけなく、破綻する。 これは、もはや、戦略ではない。ただの「運」だ。

②「日本」という、未知の変数

この法則は、あくまで、右肩上がりの成長を、続けてきた「米国市場」の、過去のデータに基づいている。 これからの、日本が、同じ軌跡を、辿れる保証など、どこにもない。 僕たちは、他人の国の、過去の地図を頼りに、自分たちの、未来の航路を、決めてしまって、本当に、いいのだろうか。

③ そして、何より「人間の“心”」が、計算に入っていない

これが、最も、致命的な欠陥だ。 4%ルールは、僕たち人間を、一切の感情を持たず、あらかじめプログラムされた通りに、資産を取り崩し続ける「ロボット」であると、仮定している。

しかし、現実には、どうだ。 目の前で、自らの資産が、一日で、数百万円、溶けていく。 そんな、地獄のような光景の中で、君は、本当に、冷静に「今年は、この4%を、売ろう」などと、判断できるだろうか。 ほとんどの人間は、恐怖に駆られ、「すべてを、失う前に!」と、狼狽売りをしてしまうか、あるいは、「減るのが、怖いから、1円も、使えない…」という、逆の極端に、走るだろう。

4%ルールは、美しい。しかし、それは、あまりにも、“人間”という、最大の変数を、無視しているのだ。

ゴールは「金額」ではない。「状態」である - 僕の“出口”の、再定義

では、どうすればいいのか。 僕が、たどり着いた、最初の答え。それは、「ゴールそのものを、再定義する」ことだった。

僕が、目指すべき「出口」とは、 「資産額が、1億円に、到達した時」といった、静的な「金額」ではない。

僕が、本当に、目指すべきは、 「僕が、会社からの給与収入に、一切、依存しなくても、僕が望む、最低限の生活を、維持できる“仕組み”が、完成した時」 という、動的な「状態」なのだ。

この、視点の転換が、僕の、出口戦略の、すべてを、変えた。

僕の、出口戦略 -「資産額」ではなく、「キャッシュフロー」を、見よ

この「状態」を、実現するための、僕の、具体的な戦略。 それは、僕が、日々の投資判断で、最も、重視している指標を、「資産の、評価額(トータルリターン)」から、「資産が、生み出す、現金の流れ(キャッシュフロー)」へと、シフトさせることだ。

僕の、新NISAのポートフォリオは、「オルカン(守り)」「VYM(攻め)」で、構成されている。 そして、僕の出口戦略において、主役となるのは、後者の「VYM」、すなわち、米国高配-当株式ETFだ。

僕が、設定している、本当のゴール。 それは、 「VYMから、得られる、年間の“配当金”が、僕の、年間の“最低生活費(例えば、300万円)”を、超えた時」 だ。

なぜ、この戦略が、4%ルールよりも、遥かに、優れていると、僕が、確信しているのか。

① それは、「売る」という、最も、困難な“決断”を、不要にする

この戦略の、最大のメリットは、「資産を、売る必要がない」ことだ。 僕たちは、ただ、僕たちの資産という名の“鶏”が、産んでくれる「卵(配当金)」だけを、毎年、ありがたく、頂けばいい。 暴落局面で、「どのタイミングで、いくら売るか」という、あの、神でもない限り、不可能な、苦しい決断から、僕たちは、完全に、解放される。

② それは、暴落時における、最強の“精神安定剤”となる

リーマンショックの時でさえ、VYMの配当金は、確かに、減少はした。しかし、ゼロには、ならなかった。 たとえ、株価(資産評価額)が、50%下落しようとも、僕の元には、生きるための「現金」が、流れ込み続けるという、事実。 この、一点が、僕の心を、パニックから守り、「むしろ、今は、安く“鶏”を、買い増す、チャンスだ」という、合理的な判断を、可能にしてくれる。

③ それは、人生に「実感」と「豊かさ」を、もたらす

そして、何より、この「第二の給料日」は、僕の“今”の人生を、豊かにしてくれる。 資産という、遠い未来の、概念的な数字ではなく、手で、触れることのできる「現金」こそが、「自分は、確かに、自由へと、近づいている」という、圧倒的な“実感”を、僕に、与えてくれるのだ。

結論:君は、“貯める”プロか、それとも“生きる”プロか

インデックス投資の、本当の難しさは、「積み立てる」ことには、ない。 その、本当の難しさは、「積み上げた、その資産と、どう、向き合い、どう、付き合い、そして、どう、人生の“幸福”へと、変換していくか」という、その、出口にこそ、ある。

「積み立てる」だけの、思考停止から、抜け出せ。 君だけの「ゴール(状態)」を、定義し、そこへ至るための「戦略」を、今すぐ、描き始めろ。

君は、ただ、数字を、積み上げるだけの「会計係」で、人生を、終えたいのか。 それとも、その資産を、賢く、使いこなし、一度きりの人生を、味わい尽くす「生き方の、プロフェッショナル」に、なりたいのか。

その、問いの答えこそが、君だけの、本当の「出口戦略」なのだ。

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