働き方

「仕事に“やる気”なんて、必要ない」モチベーションに頼らず、淡々と成果を出し続けるための思考法

その“やる気”、いつまで続きますか?

月曜の朝。重たい身体を引きずり、憂鬱な気分で、会社のデスクに向かう。 「ああ、仕事に行きたくない…」 「全く、やる気が出ない…」

そして、そんな自分を、責めてはいないだろうか。 「社会人として、失格だ」 「情熱を持って、仕事に取り組むべきなのに」と。

僕たちは、長年、一つの巨大な“幻想”を、刷り込まれてきた。 「素晴らしい仕事は、素晴らしい“モチベーション”から生まれる」という、美しい、しかし、根本的に間違った、神話を。

この記事は、そんな僕たちが、いかにして「やる気」という名の、あまりにも不安定で、気まぐれな“感情”の奴隷になってしまっているか。その構造を解き明かし、僕が、いかにして、その呪縛から逃れ、モチベーションの有無など一切関係なく、プロフェッショナルとして、淡々と、そして、確実に、成果を出し続けるための「システム」を、構築したかについての、全記録である。

モチベーションという名の“悪魔” - なぜ、「やる気」に頼ると、人生が“詰む”のか

まず、断言しよう。 モチベーションを、仕事のエネルギー源にしようとすること自体が、致命的な“戦略ミス”である。

なぜなら、モチベーションとは、天候のように、移ろいやすく、僕たちのコントロールが、全く及ばない「感情」の一種に過ぎないからだ。 気分が高揚し、何でもできるような気がする日もあれば、理由もなく、身体が鉛のように重く、何もしたくない日もある。

そんな、不確実で、再現性のないものを、君のキャリアという、人生の根幹をなす、重要なプロジェクトの“動力源”に据えることが、どれほど危険なことか、わかるだろうか。 それは、晴れた日しか発電しない、太陽光パネルだけで、大都市の電力を、賄おうとするような、あまりにも無謀な計画なのだ。

そして、この「やる気信仰」は、僕たちを、最悪の“負のスパイラル”へと、突き落とす。

やる気が出ない → パフォーマンスが上がらない → 上司に叱責される → 自己嫌悪に陥る → さらに、やる気がなくなる…

この無限ループの根源にあるのは、僕たちが、「仕事に対して、常に“やる気”であるべきだ」という、非現実的な、そして、不必要な“期待”を、自分自身に、課してしまっていることなのだ。

すべての“呪い”を解く、たった一つの“真実”

では、どうすればいいのか。 その答えは、僕が、このブログで、一貫して主張し続けている、たった一つの、達観した“真実”に、たどり着く。

「仕事とは、所詮、壮大な暇つぶしである」

この、少しだけ不真面目な視点を持つだけで、僕たちは、「やる気」という名の、重たい呪縛から、解放される。 仕事は、僕たちの人生そのものではない。自己実現のための、神聖な舞台でもない。 それは、あくまで、労働力を提供し、対価として賃金を得るための、極めてドライな「契約」であり、人生という、暇な時間を潰すための、一つの「ゲーム」なのだ。

君は、ゲームをプレイするのに、いちいち「情熱」や「やる気」を、確認するだろうか。 しないはずだ。 ただ、ルールを理解し、どうすれば、効率的に、そして、ストレスなく、クリアできるかを、考えるだけだ。

仕事も、それと、全く同じなのである。

プロフェッショナルは「感情」で動かない。「仕組み」で動く。

僕が、モチベーションの代わりに、自らのパフォーマンスを支える“動力源”としているもの。 それは、感情を、完全に排除した「システム(仕組み)」だ。

プロフェッショナルは、気分が乗っているから、仕事をするのではない。 仕事をする時間だから、仕事をするのだ。 その、当たり前で、しかし、ほとんどの人ができていない状態を、強制的に作り出すための、僕が実践する、具体的な「システム設計」を紹介しよう。

①「儀式」で、仕事の“スイッチ”を入れる

僕たちの脳は、特定の行動と、特定の精神状態を、結びつける性質がある。 これを利用し、仕事を始める前の「儀式(リチュアル)」を、設定するのだ。

僕の場合、それは「一杯のブラックコーヒーを、淹れる」という行為だ。 このコーヒーを淹れる、という行為が、僕の脳に、「今から、仕事モードに切り替われ」という、明確な“号令”となる。 気分が乗らなくても、この儀式さえ行ってしまえば、僕の脳は、半ば、強制的に、仕事モードへと、移行する。

②「If-Thenプランニング」で、“決断”を、なくす

人間が、最もエネルギーを消耗するのは、「何を、いつ、やるか」を、“決断”する瞬間だ。 「やる気が出ない…」と感じている時は、この決断のハードルが、限りなく高くなる。

だから、僕たちは、あらかじめ、未来の行動を「もし、Aが起きたら、Bをする」という、シンプルな“プログラム”として、脳に、インプットしておく。

  • 「朝9時になったら、イヤホンで、集中できる音楽を流し、企画書の作成を、50分間、始める」
  • 「昼休みが終わったら、まず、メールの返信を、30分間、行う」

この、「If-Thenプランニング」は、僕たちから「やるか、やらないか」という、決断のプロセスを、奪い去る。 もはや、そこに、君の「やる気」が、入り込む隙間は、ない。 君は、ただ、あらかじめ、自分で書いた、プログラムを、実行するだけでいい。

③「タイムブロッキング」で、カレンダーを“上司”にする

そして、最強のシステムが、これだ。 君の、本当の上司は、人間ではない。「カレンダー」だ。

一週間の初めに、重要なタスクを、すべて、カレンダー上の、具体的な「時間枠」に、ブロックとして、埋め込んでしまう。

  • 月曜 10:00-12:00:「〇〇プロジェクトの資料作成」
  • 火曜 14:00-15:00:「△△社への、提案内容の、壁打ち」

その時間になったら、君は、感情を、殺し、ただ、カレンダーという、冷徹で、しかし、最も信頼できる“上司”の命令に、従う。 その時間内は、他の、あらゆる通知を切り、そのタスクだけに、集中する。

結論:意志の力に、頼るな。仕組みを、信じろ。

もう、君が、「やる気が出ない」と、自分自身を、責める必要は、どこにもない。 それは、君が、怠惰だからではない。 それは、君が、人間として、あまりにも、正常であることの、証拠なのだから。

僕たちが、本当に向き合うべきは、移ろいやすい、自分自身の「心」ではない。 僕たちが、本当に、向き合うべきは、「怠惰で、言い訳を探しがちな自分ですら、動かざるを得ない、完璧な“仕組み”を、どうやって、デザインするか」という、知的で、創造的な、問いなのだ。

プロのアスリートは、「やる気がある日」だけ、練習するのではない。 プロの外科医は、「気分が乗っている時」だけ、手術をするのではない。 彼らは、自らを律する「システム」を持っているからこそ、プロなのだ。

君の仕事にも、その、プロフェッショナルとしての、誇りと、規律を、もたらそうではないか。 意志の力という名の、脆く、儚い“砂上の城”に、頼るのは、もう、おしまいにしよう。 そして、君自身の手で、どんな嵐にも、揺らぐことのない、強固な“システム”という名の、砦を、築き上げよう。

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