副業

「ネットで稼ぎたいけど…」と呟くあなたが、永遠に稼げない本当の理由

2025年8月28日

その問いは、誰に向けられているのか

「インターネットで、収益を得られるようになりたいんです。でも、自分に何ができるかわからなくて…」

時折、僕はこのような相談を受けることがある。その言葉の裏にある、未来への期待と、同時に存在する漠然とした不安。その気持ちは、痛いほどわかる。かつての僕もまた、同じ問いを抱えて、暗闇の中を手探りで歩いていた一人なのだから。

しかし、長年、自分自身の人生と向き合い続けた今、僕には確信を持って言えることがある。 その「私には、何ができますか?」という問いを発している限り、残念ながら、あなたがネットで継続的に収益を得られるようになる日は、永遠に訪れないだろう、と。

これは、あなたを突き放すための、意地悪な言葉ではない。 むしろ、あなたが、他人の評価や、外部の「正解」に依存する不自由な生き方から抜け出し、自分自身の足で、堂々と価値を生み出すための、最も重要で、最も誠実な第一歩についての話だ。


第一章:「何ができるか?」という問いが、あなたを“奴隷”にする

「私には、何ができますか?」 この問いは、一見すると謙虚に聞こえる。しかし、その本質は、自分の人生の評価軸を、完全に他人に明け渡してしまっている状態だ。

それは、「あなたが価値を認めてくれるものなら、私はそれをやります」という、他者への隷属の宣言に他ならない。この思考の罠に陥ると、どうなるか。

仮に、誰かが「君には、〇〇というスキルがあるから、それをやれば稼げるよ」と、“正解”を教えてくれたとしよう。あなたは、その言葉に従って、それを始めるかもしれない。しかし、その道は、おそらく長くは続かない。

なぜなら、その選択の根幹に、あなた自身の「納得感」が存在しないからだ。 壁にぶつかった時、「なぜ、自分はこんな苦しいことをやっているのだろう?」という問いに、あなたは答えることができない。それは、あなた自身の「好き」や「やりたい」から始まったものではなく、他人が決めた「できる」から始まった、借り物の動機だからだ。

自分の内側から湧き出る情熱がないのなら、他人が決めたルールの中で時間を切り売りする方が、よほど精神的に健全なのだ。


第二章:羅針盤を、自分の内側に取り戻せ

では、どうすればいいのか。 答えは、問いのベクトルを、180度転換させることだ。

「私には、何ができますか?(What can I do?)」 という、外部への問いを、

「私は、本当は何がしたいのか?(What do I want to do?)」 という、自分自身の内側への問いへと、切り替えるのだ。

これが、僕が最も大切にする**「自律」**の第一歩だ。自分の人生のハンドルを、他人の手から、自分自身の手に取り戻す。

「でも、やりたいことなんて、特にない…」 そう感じるかもしれない。しかし、それは「世界を変えるような、壮大な何か」を、無意識に探してしまっているからではないだろうか。

問いの解像度を、もっと下げてみよう。

  • あなたが、時間を忘れて没頭できることは何か?
  • あなたが、他人から頼まれても、それほど苦にならずにできることは何か?
  • あなたが、お金を払ってでも、学びたい、知りたいと思うことは何か?
  • あなたが、他人より少しだけ、うまくできることは何か?

その、ささやかな「好き」や「得意」、「苦にならないこと」のリスト。それこそが、あなたの中に眠る、価値の源泉なのだ。


第三章:“当たり前の呪い”を解き、あなただけの「金脈」を掘り当てる

「そんなものが、本当にお金になるのか?」 そう思うだろう。なぜなら、僕たちは皆、**「当たり前の呪い」**にかかっているからだ。

自分にとって、息をするように当たり前にできることは、あまりにも簡単すぎて、それが他人にとって価値のある「スキル」だとは、到底思えない。

かつて僕がそうだったように。僕が長年培ってきたPCスキルやブログの構築知識は、僕にとっては「当たり前」のことであり、特別な価値があるとは思っていなかった。しかし、ある人から「あなたにとっての当たり前は、私にとっての“魔法”だ」と言われた時、僕は、自分の大きな勘違いに気づかされた。

あなたにとっての「当たり前」は、他人にとっては喉から手が出るほど欲しい「宝物」なのだ。

その宝物を見つけ出すために、僕が実践してきた、3つの具体的なステップを紹介したい。

① 「自分史」という名の、宝の地図を広げる

まず、静かな時間を取り、自分のこれまでの人生を、客観的に棚卸ししてみる。 仕事で褒められたこと、友人から感謝されたこと、趣味で達成したこと、乗り越えた困難…。どんな些細なことでもいい。それらを、ただ書き出していく。 この**「内省」と「言語化」**のプロセスは、自分では気づかなかった、無数のスキルのカケラを、暗闇から照らし出してくれる。

② 「他者の目」という、最高の鏡を借りる

自分一人では、どうしても「当たり前の呪い」から逃れられない。そこで、信頼できる友人やパートナーに、こう尋ねてみてほしい。 「客観的に見て、私の得意なことって、何だと思う?」と。 他者の視点という鏡は、自分では決して見ることのできない、自分の背中を映し出してくれる。そこで得られるフィードバックは、時に、自分自身が下す評価よりも、遥かに正確だ。

③ 「市場」という、最も正直な審判に問う

そして、最後は、小さく試してみることだ。 ココナラ、タイムチケット、あるいは自分のブログやSNS。プラットフォームは何でもいい。 あなたが「これなら、少しは人の役に立てるかもしれない」と思った、そのささやかなスキルを、低価格でいいから、商品として出品してみるのだ。

もし、たった一人でも、あなたの商品にお金を払ってくれる人が現れたなら。 その瞬間、あなたにとっての「当たり前」は、市場が価値を認めた、紛れもない「スキル」へと変わる。その小さな成功体験が、あなたの自己認識を、根底から覆すだろう。


稼ぐことは、自分を知ることから始まる

「ネットで稼ぎたい」という思いの根底にあるのは、おそらく「もっと自由に、自分らしく生きたい」という、切実な願いだろう。

しかし、その自由は、誰かから与えられるものではない。 それは、「自分とは何者で、何をもって他者や社会に貢献できるのか」という、最も深く、最も孤独な問いに、自分自身で答えを見つけ出した者だけが、手にできるものなのだ。

その長く、しかしエキサイティングな旅の第一歩は、小手先の稼ぎ方を学ぶことではない。 ただ、静かに自分の内面と向き合い、埃をかぶった「当たり前」という名の宝物を、一つひとつ、丁寧に磨き上げることから、すべては始まる。

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