人生には、二種類の人間がいる
私たちの周りには、二種類の人間が存在するように思います。 若い頃に、圧倒的な輝きを放つ人。そして、年齢を重ねるごとに、むしろ、その輝きを増していく人。
20代で、スタープレイヤーとして活躍し、誰もがその将来を嘱望したにも関わらず、40歳を過ぎる頃には、いつの間にか、その存在感を失ってしまう人。 一方で、若い頃は、目立たない存在だったのに、40歳を過ぎてから、まるで、堰を切ったように、その能力を開花させ、周囲から、揺るぎない信頼を、勝ち取っていく人。
この、残酷なまでの“違い”は、一体、どこから、生まれるのでしょうか。 私は、その答えが「人生の前半戦で、どんな“資産”を、積み上げてきたか」という、一点にあると、考えています。
この記事は、そんな、人生の「前半戦」と「後半戦」で、求められる、全く異なる「戦い方」と、私たちが、本当に、時間をかけて、築き上げるべき「資産」の正体についての、私なりの、考察です。
前半戦を、制する者たちの「減価償却資産」
まず、若い頃に、輝きを放つ人々。 彼らが、その武器としているのは、多くの場合「減価償却資産」とでも、呼ぶべきものです。 それは、生まれながらにして、与えられ、そして、時間と共に、確実に、その価値を、失っていく資産です。
① 体力と、若さ
言うまでもなく、20代の、体力と、エネルギーは、絶大です。 徹夜も、厭わない、無限のスタミナ。新しい知識を、スポンジのように吸収する、柔軟な頭脳。 これらは、スタートダッシュにおいて、あまりにも、強力な武器となります。
② 素直さと、従順さ
そして、既存の社会のルールや会社のシステムに、素直に適応する能力。 これもまた、若い頃には高く評価されます。 上司の指示を忠実に実行し、組織の歯車として完璧に機能すること。 それは、前半戦を、勝ち抜くための、有効な戦略の一つでしょう。
しかし、これらの資産はすべて、時間と共にその価値が目減りしていきます。 体力は確実に衰える。 新しいルールのゲームが始まれば、古いシステムへの従順さはむしろ足枷となる。 彼らが頼ってきた輝かしい資産は、40歳を境にその輝きを失い始めるのです。
後半戦で、逆転する者たちの「複利資産」
一方で、40歳から、その、真価を発揮し始める人々。 彼らが人生の前半戦で、地道にそして戦略的に、積み上げてきたのは、全く性質の異なる「複利資産」です。 それは、時間と共に、その価値が、雪だるま式に、増大していく、資産です。
① 知恵と、経験
これは、単なる「知識」では、ありません。 数々の、成功と、そして、それ以上に、多くの「失敗」の経験を通じて、濾過され、体系化された「知恵」です。 一つの、出来事に対して、多角的で、本質的な、視点を持つ力。 この、知恵という名の資産は、年齢を重ねるごとに、その深みを、増していきます。
② 信用と、人間関係
これもまた、一朝一夕には、決して、築くことのできない、貴重な資産です。 目先の、利益に、飛びつくのではなく、誠実な、仕事ぶりを、貫き、時には、自らの、不利益を、受け入れてでも、相手との、約束を守る。 その、地味な、行動の、積み重ねだけが「あの人なら、大丈夫だ」という、揺るぎない「信用」を、育むのです。 この、信用こそが、人生の、後半戦において、あなたを、助けてくれる、最大の、セーフティネットとなります。
③ 金融資産
そして、言うまでもなく、これです。 若い頃から、規律を守り、給与の一部を、インデックス投資などで、着実に、積み上げてきた「金融資産」。 複利という、人類の、最大の発明を、味方につけた、その資産は、あなたが、眠っている間も、働き続け、40歳を、超える頃には、あなたの、強力な、経済的土台と、なっているはずです。
結論：君は、どちらの“資産”に、人生を、投資しているか
人生の、前半戦は、生まれ持った「減価償却資産」の、輝きだけで、乗り切れるかもしれません。 しかし、本当の勝負は、そこからだ。
人生の、後半戦という、長く、そして、本当の“実力”が、問われる、マラソン。 その、レースを、最後まで、笑顔で、走り抜くことができるのは、若さという、瞬発力に、頼る者では、ありません。 知恵、信用、そして、金融資産という、時間と共に、その価値を増す「複利資産」を、地道に、そして、辛抱強く、育て上げてきた者だけなのです。
今、あなたが、日々の、仕事や、生活の中で、積み上げているもの。 それは、一体、どちらの種類の、資産でしょうか。 10年後、20年後に、その価値が、目減りしてしまうものなのか。 それとも、雪だるま式に、その価値を、増大させていくものなのか。
その、静かなる、問いこそが、あなたの、人生の、後半戦の、すべてを、決定づけるのです。