
【第1問】企業経営と人・組織のマネジメント
現代の企業経営において、人・組織のマネジメントが重要視される理由として、最も適切なものを一つ選べ。
A. 企業の競争優位の源泉が、設備や資本といった有形資産から、人材が持つ知識やノウハウといった無形資産へとシフトしているため。
B. 終身雇用や年功序列といった日本的経営の慣行を、より強固に維持するため。
C. 経営陣が決定した戦略を、従業員に一方的に伝達し、迅速に実行させるため。
D. 従業員の管理コストを最小限に抑え、短期的な利益を最大化するため。
【第2問】人・組織のマネジメントに影響を及ぼす要因
人・組織のマネジメントに影響を与える外部環境のうち、「労働市場」の変化に関する記述として、最も適切なものを一つ選べ。
A. 少子高齢化による労働力人口の減少は、企業の採用活動をより容易にする。
B. 働き方の価値観が多様化する中で、企業は画一的な雇用形態を維持することが求められる。
C. 労働市場における人材の流動性が高まると、企業は従業員の定着(リテンション)よりも、新規採用を重視すべきである。
D. 企業は、労働市場の構造変化に対応するため、在宅勤務や副業の許容など、柔軟な働き方を検討する必要がある。
【第3問】組織行動学と人的資源管理
組織行動学(OBH)と人的資源管理(HRM)の関係性に関する記述として、誤っているものを一つ選べ。
A. OBHとHRMは、ともに心理学や社会学などから導かれた「人の行動メカニズム」を基礎としている。
B. OBHが主にマネージャーなどの「個人の取り組み」によって組織に働きかけるのに対し、HRMは「企業の仕組み」によって働きかける。
C. OBHとHRMは全く異なる領域であるため、両者の間で整合性を取る必要はない。
D. HRMで設計された評価制度が機能するためには、評価者であるマネージャーがOBHの知見(例:評価エラーの回避)を理解していることが望ましい。
【第4問】HRMの構成要素
人的資源管理の視点を構成する4つの要素は、「HRポリシー」「組織構造」「HRシステム」「組織文化」である。このうち、従業員の採用、配置、評価、報酬、能力開発といった具体的な人事施策の体系を指すものはどれか。
A. HRポリシー
B. 組織構造
C. HRシステム
D. 組織文化
【第5問】組織文化
組織文化が持つ機能に関する記述として、最も適切でないものを一つ選べ。
A. 従業員に対して、組織が何を重要視しているかを示し、行動の拠り所となる指針を与える。
B. 従業員間の円滑なコミュニケーションを促進し、組織の一体感を醸成する。
C. 外部環境が大きく変化した場合でも、既存の強力な組織文化は、常に企業の競争優位に貢献する。
D. 従業員が判断に迷った際の、意思決定の拠り所となる。
【第6問】組織設計
組織設計を行う上で考慮すべき基本要素に関する記述として、誤っているものを一つ選べ。
A. 分業と協業: 組織全体の業務を専門性に基づき分割し、それらを連携させる仕組みを考える。
B. 指揮命令系統: 誰が誰に指示を出し、報告するのかという情報の流れを明確にする。
C. 管理範囲(スパン・オブ・コントロール): 一人の管理者が監督する部下の人数を、可能な限り多く設定する。
D. 意思決定権限: 組織のどの階層に、どのような意思決定権限を持たせるか(集権か分権か)を決定する。
【第7問】組織形態
「マトリックス型組織」に関する説明として、最も適切なものを一つ選べ。
A. 「営業」「開発」「製造」といった職能別に部門を編成する、最も伝統的な組織形態。
B. 「製品A事業部」「製品B事業部」のように、製品や市場ごとに独立した組織を編成する形態。
C. 一人の従業員が、職能部門(例:開発部)と事業部門(例:製品A事業部)の両方に同時に所属する形態。
D. 階層構造をなくし、全ての従業員が対等な立場で自律的に働く、フラットな組織形態。
【第8問】人員配置
人材の調達方法である「内部調達」と「外部調達」の比較に関する記述として、正しいものを一つ選べ。
A. 内部調達は、社内にない新しい知識やスキルを導入したい場合に最も適している。
B. 外部調達は、候補者の能力や人柄に関する情報を、内部調達よりも正確に把握しやすい。
C. 内部調達は、従業員の昇進機会となり、組織の活性化やモチベーション向上に繋がりやすい。
D. 外部調達は、採用コストやオンボーディングの期間がかからないため、即戦力化までのスピードが速い。
【第9問】報奨
報奨制度を設計する際に考慮すべき「内部公平性」と「外部競争力」に関する記述として、最も適切なものを一つ選べ。
A. 内部公平性: 自社の給与水準を、競合他社の水準と比較して遜色のないものにすること。
B. 外部競争力: 社内における役職や職務の難易度、貢献度に応じた、納得感のある処遇バランスを保つこと。
C. 人材の流動性が低い業界では、内部公平性よりも外部競争力が重視される。
D. 優秀な人材を惹きつけ、定着させるためには、内部公平性と外部競争力の両方を考慮する必要がある。
【第10問】評価
人事評価の目的として、適切でないものを一つ選べ。
A. 従業員の給与や昇進といった処遇を決定するための情報を収集する。
B. 従業員の能力開発やキャリア形成を支援するためのフィードバックを行う。
C. 従業員間の序列を明確にし、社内の競争を最大限に煽ること。
D. 企業の経営戦略や目標を従業員に伝え、期待される行動を促す。
【第11問】能力開発
ビジネスリーダーが備えるべき能力要件に関する記述のうち、「コンセプチュアル・スキル」の説明として最も適切なものはどれか。
A. 経営に関する問題解決に必要な、思考・分析の枠組み(フレームワーク)を使いこなす能力。
B. 組織においてプランを実現するために必要な、対人関係能力。
C. 状況を構造化し、問題の本質を把握し、最善の解決策を導き出す能力。
D. 意識や心的要因をベースに、特定の状況に応じて取られる行動特性。
【第12問】ワーク・ライフ・バランス
企業がワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を推進するメリットとして、考えにくいものを一つ選べ。
A. 従業員満足度の向上による、離職率の低下。
B. 多様な働き方を許容することによる、優秀な人材の獲得競争力の向上。
C. 従業員が私生活で得た経験や視点を、仕事でのイノベーションに活かす機会の創出。
D. 従業員の労働時間を画一的に短縮することによる、短期的な総人件費の大幅な削減。
【第13問】メンタルヘルス
職場におけるメンタルヘルス対策は、問題の発生段階に応じて一次予防、二次予防、三次予防に分けられる。このうち、管理職が部下の不調に早期に気づき、相談に応じる活動はどれに分類されるか。
A. 一次予防
B. 二次予防
C. 三次予防
D. 予防には分類されない
【第14問】組織文化の形成
組織文化の形成プロセスに関する記述として、最も適切なものを一つ選べ。
A. 組織文化は、創業者の理念や経営陣の言動によって、大きな影響を受ける。
B. 組織文化は、一度形成されると、外部環境の変化に関わらず永続的に維持される。
C. 新入社員は、入社した時点で、その企業の組織文化を完全に理解している。
D. HRM(人事制度)と組織文化は、互いに独立しており、影響を与え合うことはない。
【第15問】組織の分化と統合
組織設計において、部門や業務の専門性を高めるために細分化を進めることを「分化」と呼ぶ。この「分化」が進みすぎた組織で起こりやすい問題はどれか。
A. 全社的な視点が育ちやすくなる。
B. 部門間の連携が円滑になり、情報共有が活発になる。
C. 各部門が自部門の利益を優先し、組織全体としての最適化が図れなくなる(セクショナリズム)。
D. 従業員の専門性が低下し、ゼネラリストばかりになる。
【第16問】ネットワーク型組織
近年の組織形態の一つである「ネットワーク型組織」の特徴として、適切でないものを一つ選べ。
A. 企業の境界を越えて、他社とのアライアンスやアウトソーシングを積極的に活用する。
B. 固定的で階層的な指揮命令系統よりも、柔軟で自律的な連携が重視される。
C. 変化の激しい環境に対して、迅速かつ柔軟に対応することに適している。
D. 全ての機能を自社内に抱え込む、垂直統合型のビジネスモデルである。
【第17問】人材の代謝
人員配置における「代謝」に関する記述として、最も適切なものを一つ選べ。
A. 新規学卒者を採用し、組織に新しい風を取り入れること。
B. 従業員に多様な職務を経験させ、能力開発を促すこと。
C. 組織の新陳代謝を促すために、定年退職や早期退職制度などを通じて、従業員の円滑な退出をマネジメントすること。
D. 中途採用によって、即戦力となる人材を外部から獲得すること。
【第18問】インセンティブ・システム
報奨項目の一つであるインセンティブ・システムに関する記述として、誤っているものを一つ選べ。
A. プロフィット・シェアリング: 企業の利益の一部を、あらかじめ定められた基準で従業員に分配する制度。
B. ストック・オプション: 従業員が、あらかじめ定められた価格で自社株を購入できる権利を付与する制度。
C. インセンティブ・システムの導入は、従業員の当事者意識や企業業績への関心を高める効果が期待できる。
D. これらの制度は、従業員の貢献度に関わらず、勤続年数に応じて一律に支払われるのが一般的である。
【第19問】評価方法
人事評価の方法の一つである「MBO(目標管理制度)」に関する説明として、最も適切なものを一つ選べ。
A. 上司が一方的に設定した目標を、部下に達成させる管理手法。
B. 従業員の性格や協調性といった、情意的な側面を中心に評価する手法。
C. 上司と部下が話し合いの上で目標を設定し、その達成度合いに基づいて評価を行う手法。
D. 上司、同僚、部下など、複数の関係者からの多面的な評価を参考にする手法。
【第20問】360度評価
上司、同僚、部下といった複数の視点から評価を行う「360度評価(多面評価)」のメリットとして、考えにくいものを一つ選べ。
A. 一人の評価者による偏りや思い込みを排し、評価の客観性や納得感を高めることができる。
B. 上司からは見えにくい、部下への指導態度や同僚との協調性などを把握することができる。
C. 管理職が自身のマネジメントに対する部下からのフィードバックを得て、自己改善に繋げることができる。
D. 評価プロセスがシンプルで、評価にかかる時間や手間を大幅に削減できる。
【第21問】キャリアの停滞感
従業員が、組織内での昇進・昇格の限界に達し、キャリアの停滞感を抱く状態を何と呼ぶか。
A. キャリア・アンカー
B. キャリア・デザイン
C. キャリア・プラトー
D. キャリア・パス
【第22問】学習する組織
ピーター・センゲが提唱した「学習する組織」を構成する「5つのディシプリン」に含まれないものはどれか。
A. システム思考
B. 自己実現と自己研鑽
C. 共有ビジョンの構築
D. トップダウンの意思決定
【第23問】経験学習モデル
D.A.コルブが提唱した経験学習モデルにおいて、経験したことを多角的に振り返り、省察するプロセスを何と呼ぶか。
A. 具体的経験
B. 内省的観察
C. 抽象的概念化
D. 能動的実験
【第24問】HRテクノロジー
AIやクラウドなどの技術を活用して、採用、育成、評価といった人事領域の業務を効率化・高度化する取り組みやサービスを総称して何と呼ぶか。
A. フィンテック
B. エドテック
C. HRテック
D. ヘルステック
【第25問】従業員エンゲージメント
従業員エンゲージメントに関する記述として、最も適切なものを一つ選べ。
A. 従業員が、現在の職場や仕事内容に満足している度合い(従業員満足度)と全く同じ概念である。
B. 従業員が、組織の目標やビジョンに共感し、自発的に貢献しようとする意欲や熱意の状態を指す。
C. 主に、勤続年数の長さを測定するための指標である。
D. 従業員エンゲージメントが高い組織ほど、離職率や欠勤率が高くなる傾向がある。
【第26問】サクセッションプラン(後継者育成計画)
企業の将来の経営幹部候補を、早期から計画的に選抜・育成していくための仕組みを何と呼ぶか。
A. MBO(目標管理制度)
B. OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)
C. サクセッションプラン
D. カフェテリアプラン
【第27問】アサーション
相手の意見を尊重しつつ、自分の意見や感情を率直かつ誠実に表現するコミュニケーションスキルを何と呼ぶか。
A. ネゴシエーション(交渉)
B. ファシリテーション
C. アサーション
D. プレゼンテーション
【第28問】組織変革活動
組織のプロセス(コミュニケーション、意思決定、人間関係など)に働きかけ、組織全体の健全性や自己変革能力を高めようとする、計画的な変革活動を何と呼ぶか。
A. 人材開発
B. 組織開発
C. キャリア開発
D. 自己啓発
【第29問】無意識の偏見
自分自身では気づいていない、思考の偏りや思い込みのことを何と呼ぶか。これは人事評価や採用面接において、公平な判断を歪める原因となることがある。
A. ハロー効果
B. アンコンシャス・バイアス
C. ステレオタイプ
D. 中心化傾向
【第30問】OKR(Objectives and Key Results)
Googleなどが採用していることで知られる、挑戦的な目標(Objectives)と、その達成度を測る具体的な指標(Key Results)を全社で共有し、高い頻度でレビューする目標設定・管理手法を何と呼ぶか。
A. MBO
B. KPI
C. OKR
D. KGI

お疲れ様でした!全30問、いかがでしたか?
これだけやりこめば合格は目の前です。間違えた問題は繰り返し解いて覚えていきましょう。
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