GMAP

【GMAP対策】 経営戦略 問題集

2025年9月1日

【第1問】経営戦略の意義と企業の目的

戦略とは「企業の目的を達成するために、持続的な競争優位性を確立すべく構造化されたアクションプラン」と定義される。この定義に基づき、経営戦略が果たすべき役割として、最も適切でないものを一つ選べ。

A. 企業の進むべき方向性を明確にし、経営資源の「選択と集中」を促す。

B. 従業員や株主、取引先といったステークホルダーとの共通認識を形成する。

C. 変化する経営環境に適応し、企業が長期的に存続・成長するための道筋を示す。

D. 日々の業務オペレーションを詳細に規定し、現場のタスクを管理する。

【第2問】経営理念と戦略レベル

経営理念と戦略レベルの関係性について述べた以下の記述のうち、最も適切なものを一つ選べ。

A. 機能戦略とは、全社戦略で定められた事業ポートフォリオを直接的に実行するための戦略である。

B. 事業戦略とは、全社戦略で定められた事業ドメイン(領域)の中で、いかにして競争優位を築くかを定める戦略である。

C. 全社戦略とは、各事業部の事業戦略を積み上げて統合したものであり、ボトムアップで策定されるのが基本である。

D. 経営理念は定期的に見直すべきものであり、戦略レベルよりも下位に位置づけられる。

【第3問】戦略策定プロセス

戦略策定の一般的なプロセスに関する記述として、最も適切なものを一つ選べ。

A. まず初めに具体的な戦略目標(KGI/KPI)を設定し、その後に環境分析を行う。

B. 環境分析(外部・内部)を経て戦略オプションを立案し、その中から最適な戦略を選択、実行・評価という流れで進む。

C. 戦略の実行段階で問題が発生した場合、計画通りに遂行することに集中し、当初の戦略を変更するべきではない。

D. 外部環境分析では、主に自社の財務状況や組織文化といった内部リソースを分析する。

【第4問】全社戦略の構成要素(1):ドメイン

事業領域を定義する「ドメイン」に関する記述として、誤っているものを一つ選べ。

A. ドメインは、企業のアイデンティティを規定し、事業活動の範囲を明確にする役割を持つ。

B. 物理的な製品やサービス(モノ)でドメインを定義すると、顧客ニーズの変化に対応できなくなる「マーケティング близорукість(近視眼)」に陥るリスクがある。

C. 顧客ニーズ(コト)でドメインを定義することで、技術革新や市場変化に対して柔軟な事業展開が可能になる。

D. 一度設定したドメインは企業の根幹であるため、事業環境が大きく変化しても変更するべきではない。

【第5問】全社戦略の構成要素(2):コア・コンピタンス

コア・コンピタンスに関する記述として、最も適切なものを一つ選べ。

A. コア・コンピタンスとは、主に特許技術や最新鋭の設備といった、貸借対照表に計上できる有形資産を指す。

B. 他社が容易に模倣できる独自の強みは、持続的な競争優位の源泉となるコア・コンピタンスとは言えない。

C. ある事業で成功したコア・コンピタンスは、他のあらゆる事業においても同様に通用する。

D. コア・コンピタンスは、短期間の集中投資によって獲得できるものである。

【第6問】事業ポートフォリオと事業ライフサイクル

事業ライフサイクルに関する記述として、誤っているものを一つ選べ。

A. 導入期: 新しい市場を創造する段階であり、製品の認知度向上のための先行投資でキャッシュフローはマイナスになりやすい。

B. 成長期: 売上が急拡大し、規模の経済が働き始めるが、競合の新規参入が相次ぎ競争が激化する。

C. 成熟期: 市場の成長が鈍化し、売上は安定または微減する。この段階では、シェアを奪い合う消耗戦になりやすい。

D. 衰退期: 技術革新や代替品の登場により市場が縮小する。この段階に残存するメリットは全くない。

【第7問】ポートフォリオ・マトリクス(PPM)

PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)に関する記述として、最も適切なものを一つ選べ。

A. 「金のなる木」の事業で得られたキャッシュを、主に「負け犬」の事業に再投資するのが基本的な考え方である。

B. 「問題児」の事業は、市場成長率が高いため、全ての経営資源を集中して投資するべきである。

C. 「花形」の事業は、高い市場シェアを維持・拡大するために継続的な投資を必要とし、キャッシュフローは必ずしも大きくない。

D. PPMは、事業間のシナジー(相乗効果)を分析することに最も適したフレームワークである。

【第8問】事業拡大と多角化の基本戦略

アンゾフの成長マトリクスに関する記述として、以下のうち正しい組み合わせを一つ選べ。

A. 市場浸透戦略: 既存の製品を、海外などの新しい市場に投入して売上拡大を図る。

B. 新製品開発戦略: 既存の市場の顧客に対して、新しい製品やサービスを開発・投入する。

C. 新市場開拓戦略: 自社の技術やブランドとは全く関連性のない、新しい市場で新しい製品を投入する。

D. 多角化戦略: 既存の市場で、既存製品のシェアをさらに高めるためのプロモーション活動を強化する。

【第9問】競争優位を築くための基本戦略

M.E.ポーターが提唱した3つの基本戦略に関する記述として、誤っているものを一つ選べ。

A. コスト・リーダーシップ戦略: 経験曲線効果や規模の経済性を活用し、競合他社よりも低いコストを実現することで優位性を築く。

B. 差別化戦略: 業界内で広く認識される独自の価値を提供し、顧客がその付加価値に対して高い価格を支払うことを厭わない状況を作り出す。

C. 集中戦略: 業界全体の幅広い顧客層をターゲットとし、コストまたは差別化のいずれかで優位性を追求する。

D. 3つの基本戦略のうち、複数を同時に追求しようとすると、資源が分散し「板挟み(Stuck in the middle)」の状態に陥るリスクがある。

【第10問】事業の経済性分析

「経験曲線効果」に関する説明として、最も適切なものを一つ選べ。

A. ある事業に長く従事するほど従業員のモチベーションが向上し、生産性が高まる現象。

B. 累計生産量が増加するにつれて、製品単位あたりの総コストが一定の割合で低下していく現象。

C. 新規事業への参入障壁が高ければ高いほど、先行企業の利益が大きくなるという効果。

D. 事業規模が大きくなるほど、単位あたりの固定費が下がる「規模の経済」と全く同じ概念である。

【第11問】外部環境分析

外部環境分析のフレームワークであるPEST分析に関する記述として、誤っているものを一つ選べ。

A. PESTとは、政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)の頭文字を取ったものである。

B. 自社でコントロールすることが困難なマクロ環境の変化が、自社の事業にどのような影響を与えるかを分析する目的で使われる。

C. 分析を行う際は、自社の事業に特に関連の深い要因や変化に絞って分析することが、効率的かつ効果的である。

D. 主に自社の強み・弱みや、競合他社の戦略を分析するために用いられる。

【第12問】業界分析:業界構造と「5つの力」

ポーターの「5つの力」分析において、業界の収益性を下げる方向に働く要因として、適切でないものを一つ選べ。

A. 業界への参入障壁が非常に高い。

B. 代替品が数多く存在し、顧客のスイッチングコストが低い。

C. 顧客(買い手)が寡占状態にあり、交渉力が強い。

D. 業界内の競合企業が多く、同質的な製品で争っている。

【第13問】業界分析:アドバンテージ・マトリクス

BCGが提唱したアドバンテージ・マトリクスにおいて、競争要因(戦略変数)は多いものの、優位性の構築が困難な業界(例:飲食業、理美容業など)を何と呼ぶか。

A. 規模型事業

B. 特化型事業

C. 分散型事業

D. 手詰まり型事業

【第14問】内部分析:バリューチェーン

バリューチェーン分析に関する記述として、最も適切なものを一つ選べ。

A. バリューチェーン分析の目的は、自社の活動を機能分解し、コスト構造を把握することに限定される。 B. 「主活動」とは、人事・労務管理や技術開発といった、事業活動を間接的に支える活動を指す。 C. 自社のバリューチェーンと競合のバリューチェーンを比較することで、競争優位の源泉がどこにあるのかを特定できる。 D. バリューチェーンは一度分析すれば十分であり、定期的に見直す必要はない。

【第15問】競争上の地位に応じた戦略

市場における競争上の地位(リーダー、チャレンジャー、フォロワー、ニッチャー)に応じた戦略に関する記述として、最も適切なものを一つ選べ。

A. リーダー: 業界トップの地位を守るため、常に競合他社と同じ戦略(同質化戦略)をとるべきである。

B. チャレンジャー: 業界2位以下の企業であり、リーダーに対して差別化戦略を仕掛け、シェアの逆転を狙う。

C. フォロワー: リーダーの戦略を模倣しつつ、より低価格で製品を提供することに特化した戦略をとる。

D. ニッチャー: 経営資源が乏しいため、リーダーやチャレンジャーと同じ市場で戦うべきである。

【第16問】事業ライフサイクルに応じた戦略

事業ライフサイクルの「成熟期」において、企業が取るべき戦略として最も適切と考えられるものを一つ選べ。

A. 製品の認知度向上のため、広告宣伝費を大幅に増額する。 B. 市場シェアの維持・向上を目指し、競合製品との差別化やブランドの再活性化を図る。 C. 将来の成長を見込み、研究開発や設備への大規模な新規投資を行う。 D. 不採算と判断し、速やかに事業から撤退する。

【第17問】戦略形成に関する見方

戦略形成の考え方の一つである「リソース・ベースト・ビュー(RBV)」に関する説明として、最も適切なものを一つ選べ。

A. 企業の成功は、魅力的な業界を選び、その中で有利なポジションを築くことによって決まると考える。

B. 企業の持続的な競争優位の源泉は、外部の環境変化ではなく、企業内部に保有する独自の経営資源にあると考える。

C. 戦略は、トップマネジメントが合理的に分析・計画するものではなく、現場での学習や試行錯誤を通じて創発的に生まれると考える。

D. 企業の組織構造や文化は、特定のパターン(コンフィギュレーション)に分類でき、環境に応じて変革していくべきだと考える。

【第18問】M&Aとアライアンス

M&A(合併・買収)とアライアンス(提携)の比較に関する記述として、誤っているものを一つ選べ。

A. M&Aは経営権の移転を伴うが、アライアンスは各社の独立性を維持したまま協力関係を築く。

B. 一般的に、M&Aはアライアンスに比べて、意思決定のスピードが速く、より強固な関係を構築できる。

C. アライアンスはM&Aに比べて、投下資本が少なく、柔軟性が高く、解消も比較的容易である。

D. 新規事業への参入スピードを最優先する場合、ゼロから自社で立ち上げるよりもアライアンスが最も早い選択肢となる。

【第19問】バリューチェーンの再構築

デジタル化の進展などにより、既存の業界のバリューチェーンが破壊・再構築されることがあります。そのモデルの一つである「レイヤーマスター」の説明として、最も適切なものを一つ選べ。

A. 既存の流通チャネルの非効率な部分を突き、新たな仲介者として市場を創造する。(例:ネット中古車販売)

B. 多数の独立した企業を束ね、新たなバリューチェーン全体を設計・運営する。(例:デルの受注生産モデル)

C. バリューチェーンの中の特定の機能(階層=レイヤー)に特化し、その分野で圧倒的な支配力を築く。(例:インテル、マイクロソフト)

D. 顧客一人ひとりの代理人として、膨大な情報の中から最適な選択肢を提示する。(例:価格比較サイト)

【第20問】グローバル化と規格競争

グローバル市場における企業の戦略類型に関する記述として、最も適切なものを一つ選べ。

A. グローバル戦略: 各国の市場ニーズへの適合(ローカライゼーション)を最優先し、現地法人に大幅な権限を委譲する。

B. マルチ・ドメスティック戦略: 本国で開発した製品を全世界で標準化して販売し、グローバルでの効率性を最大限に追求する。

C. トランスナショナル戦略: グローバルな効率性と各国のニーズへの適合という、二律背反の課題を両立させようとする最も高度な戦略。

D. いずれの戦略においても、本国の本社が全ての意思決定を一元的に管理するのが最も効果的である。

【第21問】CSR(企業の社会的責任)

CSRに関する記述として、誤っているものを一つ選べ。

A. CSRとは、企業が利益を追求するだけでなく、事業活動が社会へ与える影響に責任を持ち、ステークホルダーからの要求に適切に対応することである。

B. 法令遵守(コンプライアンス)やコーポレート・ガバナンスの強化は、CSRの基本的な要素に含まれる。

C. 「戦略的CSR」とは、社会貢献活動を本業の競争力強化に結びつけ、社会的価値と経済的価値を同時に創造しようとする考え方である。

D. CSR活動は、企業のコストを増加させるだけであり、企業価値の向上にはつながらない。

■正解:D

■解説:

D:誤り。

適切なCSR活動は、企業のレピュテーション(評判)やブランドイメージを向上させ、顧客ロイヤルティや従業員のエンゲージメントを高めるなど、長期的に企業価値の向上に貢献すると考えられています。近年では、ESG投資のように、企業の社会的責任への取り組みが投資家からの評価にも直結しています。

【第22問】社会起業家

社会起業家(ソーシャル・アントレプレナー)に関する記述として、最も適切なものを一つ選べ。

A. 主に利益の最大化を目的として事業を行う起業家のことである。

B. 社会的課題の解決を第一のミッションとし、そのための手段としてビジネスの手法を用いる起業家のことである。

C. 政府や地方自治体からの補助金のみを財源として活動する非営利団体の運営者と定義される。

D. 活動分野は、発展途上国の貧困問題に限定される。

【第23問】VRIO分析

リソース・ベースト・ビューにおいて、経営資源が持続的な競争優位の源泉となるかを評価するVRIO分析の4つの問いに関する記述として、誤っているものを一つ選べ。

A. 経済価値(Value): その経営資源は、外部環境の機会を捉え、脅威に対応するのに役立つか。

B. 希少性(Rarity): その経営資源を、多くの競合他社が保有していないか。

C. 模倣困難性(Imitability): その経営資源を、競合他社が容易に模倣したり、代替したりできないか。

D. 事業性(Operability): その経営資源を、市場で高い価格で売却することができるか。

【第24問】ブルー・オーシャン戦略

ブルー・オーシャン戦略に関する説明として、最も適切なものを一つ選べ。

A. 既存の市場(レッド・オーシャン)で、競合他社に打ち勝つための差別化戦略である。 B. 競争の激しい市場から撤退し、事業を清算するための戦略である。 C. 競争のない未開拓の市場空間を新たに創造し、高付加価値と低コストを両立させる戦略である。 D. 業界のリーダー企業が、市場シェアをさらに拡大するための価格戦略である。

【第25問】シナジー効果

全社戦略において、複数の事業を持つことによるシナジー(相乗効果)に関する記述として、誤っているものを一つ選べ

A. 販売シナジーとは、共通の販売チャネルやブランドを活用することで、販売効率を高める効果を指す。

B. 生産シナジーとは、生産設備やノウハウを共有することで、コスト削減や品質向上を実現する効果を指す。

C. 財務シナジーとは、各事業部が独立した財務戦略をとることで、全体の資金効率を高める効果を指す。

D. 複数の事業を持つことは、シナジーだけでなく、逆に非効率を生む「アナジー(負のシナジー)」が発生するリスクも内包している。

【第26問】垂直統合

企業の戦略の一つである垂直統合に関する記述として、最も適切なものを一つ選べ。

A. 同一業種の競合他社を買収し、市場シェアを拡大すること。

B. 自社のバリューチェーンにおいて、原材料の供給(川上)や販売チャネル(川下)など、これまで外部に依存していた工程を内製化すること。

C. 自社の既存事業とは全く関連のない、新しい事業分野に多角化すること。

D. 海外市場に進出し、グローバルでの事業展開を図ること。

【第27問】デファクト・スタンダード

規格競争における「デファクト・スタンダード」に関する説明として、最も適切なものを一つ選べ。

A. ISO(国際標準化機構)など、公的な標準化機関によって定められた公式な規格のこと。

B. 市場での競争の結果、事実上の標準として多くの企業や消費者に受け入れられた規格のこと。

C. 特定の企業グループ内でのみ通用する、独自性の高いクローズドな規格のこと。

D. 製品の品質を保証するために、政府が法律で定めた最低限の安全基準のこと。

【第28問】プラットフォーム戦略

プラットフォーム戦略に関する記述として、誤っているものを一つ選べ。

A. 複数の異なるグループ(例:買い手と売り手、ユーザーと開発者など)が出会い、相互に取引や交流を行う「場」を提供するビジネスモデルである。

B. プラットフォームに参加するユーザーが増えれば増えるほど、そのプラットフォームの価値が高まる「ネットワーク効果」が働きやすい。

C. プラットフォーム事業者は、主にプラットフォーム上で取引される製品やサービスを自ら製造・提供する。

D. 成功したプラットフォームは、その市場におけるルール形成者となり、強力な競争優位を築くことができる。

【第29問】両利きの経営

「両利きの経営」で言うところの「知の探索」と「知の深化」に関する記述として、最も適切なものを一つ選べ。

A. 「知の探索」とは、既存事業の効率性を高め、改善を続ける活動を指す。

B. 「知の深化」とは、既存事業とは全く異なる、新しい知識や機会を探求する活動を指す。

C. 企業が長期的に成長するためには、「知の深化」のみに集中し、現在の収益を最大化することが重要である。

D. 「知の探索」と「知の深化」は相反する活動であり、これらを組織内でいかに両立させるかが経営の大きな課題となる。

【第30問】DX(デジタル・トランスフォーメーション)

経営戦略におけるDXに関する記述として、最も適切でないものを一つ選べ。

A. DXとは、単にITツールを導入して業務をデジタル化(デジタイゼーション)することである。

B. DXの目的は、デジタル技術を活用して、ビジネスモデルや組織、企業文化そのものを変革し、新たな価値を創造することにある。

C. 既存の業務プロセスをデジタル前提で見直す「デジタライゼーション」は、DXの重要なステップの一つである。

D. 成功するDXには、経営トップの強いコミットメントと、明確なビジョンが不可欠である。

お疲れ様でした!全30問、いかがでしたか?

これだけやりこめば合格は目の前です。間違えた問題は繰り返し解いて覚えていきましょう。

関連記事

他の科目はこちらから

-GMAP