
昨日まで、世界は“輝いて”いた
昨日まで、僕たちの目の前には、一本の、光り輝く“道”が、まっすぐに、伸びていたはずだ。
真面目に、そして、懸命に働き、着実に、成果を積み重ねてきた。 会社からの、評価も、悪くない。 「出世コース」という名の、高速のエスカレーターに乗り、このまま、順調に、人生の階層を、駆け上がっていくのだと。
僕たちは、そう、信じて疑わなかった。
しかし、その“道”は、ある日、突然、何の前触れもなく、僕たちの目の前で、ぷっつりと、途絶える。
- 予期せぬ、部署異動。
- 心血を注いだ、プロジェクトの、無残な失敗。
- そして、自分の名前だけが、そこにはなかった、昇進発表。
その瞬間、世界は、色を失い、モノクロームへと、反転する。 これまで、僕の人生を、支えてきた「自分は、優秀である」という、ちっぽけな、しかし、何よりも大切だった“プライド”が、ガラガラと、音を立てて、崩れ落ちていく。
「俺の、人生は、終わった…」
もし、君が今、そんな、深い、深い、無力感の、海の底に、沈んでいるのだとしたら。 僕は、君に、僕自身の、話を、しなければならない。
僕もまた、かつて、同じ、海の底で、一人、膝を抱えていた、男なのだ。 そして、今なら、確信を持って、君に、告げることができる。 その、人生で、初めての「本当の挫折」は、君の物語の“終わり”などではない。 それは、君が、他人のためではない、君自身の“本当の物語”を、始めるための、神様が、与えてくれた、最高の「リセットボタン」なのだ、と。
“プライド”という名の、最も、重たい“鎧”
挫折の、どん底にいる時、僕たちを、最も、苦しめるもの。 それは、客観的な、事実ではない。 それは、僕たち自身の「プライド」だ。
これまで、一度も、負けたことがなかったからこそ、その「負け」を、受け入れることが、できない。 その、高すぎるプライドが、僕たちの心を、三つの、暗い“牢獄”へと、閉じ込める。
- 「否定」の牢獄: 「これは、何かの間違いだ」「すぐに、元に戻れるはずだ」。現実を、直視できず、過去の栄光に、しがみつく。
- 「他責」の牢獄: 「無能な、上司のせいだ」「会社の、評価制度が、おかしい」。怒りの矛先を、外部に向け、自分自身と、向き合うことから、逃げ続ける。
- 「孤独」の牢獄: そして、何よりも、これだ。 「失敗した、惨めな自分を、誰にも、見られたくない」。プライドが、邪魔をして、誰にも、その苦しみを、打ち明けられない。一人、孤独に、心を、蝕まれていく。
その、君が、必死で、守ろうとしているプライド。 それは、もはや、君を、輝かせる“勲章”ではない。 それは、君を、次の一歩から、遠ざける、最も、重たく、そして、錆びついた“鎧”なのだ。
僕が、海の底から、這い上がるために、実践した“3つのステップ”
僕の、キャリアにおける、最初の、そして、最大の挫折は、2008年の「リーマンショック」だった。 世界が、金融危機に、揺れる中で、僕が、信じていた、すべてのものが、目の前で、崩れ去っていった。
その、暗闇の、海の底で、僕が、もがきながら、実践した、三つの、思考のステップ。 それが、君を、その場所から、救い出す、一筋の、光になるかもしれない。
① 失ったものを、数えるな。残されたものを、数えろ
挫折の直後、僕たちの脳は、自動的に「失ったもの」ばかりを、数え始める。 失った、役職。失った、信頼。失った、未来。 しかし、その計算は、君を、絶望の、無限ループへと、引きずり込むだけだ。
僕が、最初に、やったこと。 それは、思考を、強制的に、切り替え、自らの手元に「残されたもの」を、一つひとつ、数え直す、という作業だった。
- 健康な、身体は、残っているか? → YES
- 支えてくれる、家族や、友人は、いるか? → YES
- これまで、培ってきた、スキルや、経験は、ゼロになったか? → NO
- そして、明日を、生きるための、最低限の、資産は、あるか? → YES
この、地味な「棚卸し」の作業を通じて、僕は、一つの、重要な事実に、気づかされる。 僕が、失ったのは、会社という、一つの、ちっぽけな“村”の中での、役割や、評判に過ぎない。 僕の、人生そのものの“土台”は、何一つ、揺らいではいない、と。
② 他人の“物差し”から、降りろ。そして、自分の“物差し”を、創り直せ
僕たちが、あれほどまでに、苦しむのは、なぜか。 それは、僕たちが、いまだに「会社の、物差し(出世コースなど)」で、自分自身の価値を、測ろうとしているからだ。 その、ゲームから、強制的に、退場させられたにもかかわらず。
僕が、次に、やったこと。 それは、その、もはや、自分とは、何の関係もなくなった、他人の“物差し”を、心の中で、叩き折ることだった。
そして、自問するのだ。 「そもそも、僕は、本当に、あの山の頂上に、登りたかったのだろうか?」 「僕が、人生で、本当に、大切にしたい“価値観”とは、一体、何だったのだろうか?」
挫折とは、社会が、君に、押し付けてきた「偽りのゴール」から、君を、強制的に、解放し、君だけの「本当のゴール」を、見つけ出すための、神様が、与えてくれた“強制的な、内省期間”なのだ。
③ その“失敗”を、君だけの“物語”へと、昇華させろ
そして、最後のステップ。 今の君にとって、その挫折は、ただの、惨めで、恥ずかしい「失敗談」でしかないかもしれない。
しかし、信じてほしい。 その、傷だらけの経験こそが、未来の、君の、最大の“資産”となる。
なぜなら、人は、完璧な、成功物語には、共感しないからだ。 人は、一度、地の底まで落ち、そこから、不格好に、這い上がってきた人間の、その「物語」にこそ、心を、揺さぶられ、勇気をもらう。
君の、その、今の痛みは、いつか、必ず、君と同じように、挫折の淵で、苦しむ、まだ見ぬ“誰か”を、照らす、温かい「光」となる。 その、失敗を、君だけの、唯一無二の「物語」へと、昇華させる。 その、覚悟を決めた時、君の、過去は、輝き始める。
結論:その“リセットボタン”は、君のために、用意された
30代、40代で、経験する、初めての、挫折。 それは、痛い。あまりにも、痛い。
しかし、それは、君の、人生の、ゲームオーバーを、告げる、ブザーではない。 それは、「君よ、もう、他人のために、生きるのは、おやめなさい。ここから先は、君だけの、人生を、生きなさい」という、神様が、君のためだけに、用意してくれた、愛に満ちた“リセットボタン”なのだ。
古い、セーブデータは、もう、消していい。 君の、本当の冒険は、いつだって、その、何もない、真っ白な画面から、始まるのだから。