NISA 高配当株投資

資産1000万の暴落と、資産5000万の暴落は、全く別の“痛み”である

その“恐怖”、君は、まだ、本当の意味を、知らない

「暴落は、絶好の買い場である」

僕たち、長期投資家は、この、あまりにも有名で、そして、力強い“格言”を、心の支えに、日々の、積立を、続けている。 僕も、かつては、そうだった。 リーマンショックも、コロナショックも、僕は、この格言を、胸に、歯を食いしばり、乗り越えてきた。

しかし、僕は、最近、気づいてしまったのだ。 この、勇ましい格言が、ある、一つの「前提条件」の上でしか、成り立たない、という、不都合な真実に。 その、前提条件とは、「君が、まだ、大した資産を、持っていない」ということだ。

この記事は、そんな僕が、自らの資産が、3000万円、4000万円と、雪だるま式に、増えていく過程で、直面することになった、新しい種類の、そして、遥かに、質の悪い「恐怖」の正体についての、物語である。 そして、僕たちが、キャリアの「形成期」から「防衛期」へと、移行する上で、いかにして、その、新しい恐怖と、向き合い、自らの、大切な資産を、守り抜くべきか。 その、僕なりの「資産防衛術」についての、全記録である。

“痛み”の、非対称性 - なぜ、資産が増えるほど、僕たちは“臆病”になるのか

まず、僕たちが、直視しなければならない、残酷な、数学的な、事実がある。

資産1000万円の、君が、直面する「暴落」

君の資産が、1000万円だったとしよう。 ある日、市場が、30%暴落した。君の資産は、300万円を、失い、700万円になる。 痛い。確かに、痛い。しかし、君は、まだ、心のどこかで、こう、思えるはずだ。 「300万円なら、また、数年間、必死で働けば、取り戻せる」と。 君の、人生そのものを、揺るがすほどの、致命傷では、ない。

資産5000万円の、君が、直面する「暴落」

では、君の資産が、5000万円だったら、どうだろうか。 同じ、30%の暴落が、君の資産から、奪い去る金額。それは、1500万円だ。

1500万円。 それは、多くの、サラリーマンの、数年分の、年収に、匹敵する。 それは、地方であれば、家一軒が、買えてしまうほどの、金額だ。 それは、もはや、君が、労働だけで、簡単には、取り戻せない、君の、人生の、かなりの部分、そのものなのだ。

この、失うものの、大きさが、僕たちの、リスク許容度を、根本から、変えてしまう。 若い頃は「どうせ、少額だ」と、割り切れた。 しかし、今、僕たちが、失うのは、もはや、ただの「お金」ではない。 それは、僕たちが、人生の、貴重な時間を、切り売りして、築き上げてきた「過去」そのものであり、穏やかに、過ごすはずだった「未来」そのものなのだ。

ゲームの“ルール”は、変わった -「攻め」の時代から、「守り」の時代へ

僕たちは、認めなければならない。 僕たちが、プレイする「ゲーム」の、フェーズは、変わったのだ、と。

資産形成期(アキュムレーション・フェーズ):ひたすらに「攻める」時代

この時期の、僕たちの、最大の敵は「リスクを、取らないこと」だった。 僕たちの、最大の資産は、金融資産ではなく、これから、何十年にもわたって、稼ぎ続けることができる**「人的資本(稼ぐ力)」**だったからだ。 だから、僕たちは、給与所得の、大部分を、株式という、ハイリスク・ハイリターンな資産に、全力で、投下することが、正解だった。

資産防衛期(プリザベーション・フェーズ):いかにして「守る」かという、新しいゲーム

しかし、金融資産が、人的資本と、同等、あるいは、それ以上に、大きくなった、今。 僕たちの、最大の敵は、もはや「機会損失」ではない。 僕たちの、最大の敵は、「資産を、大きく、減らしてしまう、致命的な、損失」へと、変わる。

「攻め」の技術だけを、磨いてきた、僕たちは、今、全く新しい「守り」の技術を、学ばなければならないのだ。

僕が、実践する「資産防衛術」- 心を、失わないための、三層の“砦”

では、具体的に、どうすれば、この、新しい恐怖と、向き合い、自らの資産を、守り抜くことができるのか。 僕が、自らのポートフォリオに、実装している、三層の「防御システム」を紹介しよう。

第一の砦:「コア戦略」の、再確認 - 君は、何を、信じていたのか

市場が、パニックに、包まれた時。 君が、立ち返るべきは、君が、この、投資を、始めた日の「初心」だ。

僕の、投資の「コア(中核)」は、「オルカン」と「VYM」だ。

  • オルカンは、世界経済全体に、分散投資する、究極の「盾」。
  • VYMは、暴落時でも、キャッシュを生み出し続ける、精神的な「生命線」。

僕は、この、自分が、心の底から「合理的だ」と、信じて、組んだ、ポートフォリオの、“哲学”を、もう一度、読み返す。 短期的な、市場のノイズに、惑わされるな。君が、信じたのは、長期的な、世界の成長と、企業の、価値創造力だったはずだ。 この、哲学への、回帰こそが、君を、狼狽売りという、最も、愚かな行為から、守ってくれる、第一の砦だ。

第二の砦:「現金比率」という、究-極の“精神安定剤”

次に、極めて、実践的な、話だ。 「フルインベストメント(全力投資)こそが、最も、リターンが高い」 その、合理性は、知っている。

しかし、僕は、あえて、資産の一部を、一切、リターンを生まない「現金」として、保有し続けている。 なぜか。 それは、この「現金」こそが、暴落時における、僕の心を、正常に保つための、究極の「精神安定剤」だからだ。

「たとえ、今、僕の、株式資産が、半分になろうとも。この、現金があれば、向こう、数年間は、問題なく、生きていける」 この、絶対的な「安心感」が、僕に、暴落した市場で、冷静に、そして、むしろ、“買い増し”という、攻撃的な行動を、取る、勇気を、与えてくれる。 現金とは、リターンを、生まない、非効率な資産ではない。 それは、合理的な判断を、下すための「権利」を、買うための、保険料なのだ。

第三の砦:「棚卸し」という、冷静な“自己分析”

そして、最後に。 君の「リスク許容度」は、決して、一定ではない、という事実を、知ることだ。 それは、君の、年齢、家族構成、そして、資産額そのものによって、常に、変化し続ける。

だから、僕は、年に一度、機械的に、自らの資産の「棚卸し」を、行う。 そして、自問するのだ。 「今の、自分にとって、この、株式と、現金の、比率は、本当に、心地よいか?」と。

もし、資産が、増え、夜、眠れないほどの、恐怖を、感じるようになったのなら。 株式の比率を、少しだけ、下げ、現金の比率を、上げることを、決して、恥じてはならない。 それは、恐怖に、負けた「撤退」ではない。 それは、変化した、自分自身と、向き合い、戦略を、再調整する、極めて、成熟した「資産管理」なのである。

結論:その“恐怖”は、君が、戦ってきた“証”だ

資産が、増えるほどに、大きくなる、暴落への、恐怖。 それは、君が、臆病になった、という、証拠ではない。 それは、君が、それだけ、人生を、懸けて、守るべきものを、自らの手で、築き上げてきた、という、何よりも、誇らしい“勲章”なのだ。

その、恐怖から、目をそむけるな。 その、恐怖と、共存し、それを、コントロールするための「技術」と「哲学」を、身につけろ。

「攻め」の、時代は、終わった。 ようこそ、「守り」という、より、知的で、そして、より、深い、大人のゲームへ。 その、ゲームを、制した者だけが、本当の意味での「心の、平穏」を、手に入れることができるのだから。

-NISA, 高配当株投資