
【第1問】企業経営とアカウンティング
企業の情報開示(ディスクロージャー)に関する記述として、最も適切なものを一つ選べ。
A. 企業の所有者は経営者であるため、会計情報は主に経営者のために作成される。
B. 経営者は株主よりも企業の内部情報に詳しいため、両者の間には「情報の対称性」が成り立っている。
C. 決算短信や有価証券報告書は、企業が任意で開示する「自発的ディスクロージャー」の代表例である。
D. 企業の利害関係者(ステークホルダー)は、開示された会計情報を用いて、投資や融資などの意思決定を行う。
【第2問】アカウンティングの目的
財務会計と管理会計の違いに関する記述として、誤っているものを一つ選べ。
A. 財務会計は、株主や債権者といった外部の利害関係者への報告を主な目的とする。
B. 管理会計は、経営者や事業部長といった内部の管理者による意思決定に役立てることを主な目的とする。
C. 財務会計で作成される財務諸表は、法律や会計基準といった定められたルールに従う必要がある。
D. 管理会計は、外部への報告を目的とするため、定められた様式やルールに従って作成する必要がある。
【第3問】収益及び費用の認識
会計における収益と費用の認識基準に関する記述として、最も適切なものを一つ選べ。
A. 「現金主義」は、現金の入金があった時点で収益を、出金があった時点で費用を認識する方法であり、企業の経営成績を正確に表す。
B. 「発生主義」とは、現金の収支に関わらず、経済的な価値の発生や消費という事実に基づいて費用を認識する考え方である。
C. 「実現主義」とは、現金の入金があった時点で、その取引に伴う費用を認識する考え方である。
D. 日本の制度会計では、収益・費用ともに「発生主義」で認識するのが原則である。
【第4問】財務諸表の成り立ち
財務三表(損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書)の関係性に関する記述として、最も適切なものを一つ選べ。
A. 損益計算書で計算された「売上総利益」が、貸借対照表の「利益剰余金」に加算される。
B. 貸借対照表の期首と期末の「現預金」の差額が、キャッシュフロー計算書の「営業活動によるキャッシュフロー」と一致する。
C. 損益計算書で計算された「当期純利益」は、キャッシュフロー計算書の営業活動によるキャッシュフローの計算の出発点となる(間接法)。
D. キャッシュフロー計算書は、貸借対照表と損益計算書とは独立しており、相互に関連性はない。
【第5問】損益計算書 ※計算問題
以下の情報に基づき、営業利益はいくらになるか計算せよ。
- 売上高: 1,000万円
- 売上原価: 600万円
- 販売費及び一般管理費: 250万円
- 営業外収益(受取利息): 50万円
- 営業外費用(支払利息): 100万円
A. 150万円
B. 200万円
C. 350万円
D. 400万円
【第6問】貸借対照表(資産)
貸借対照表の資産の部に関する記述として、誤っているものを一つ選べ。
A. 資産は、原則として1年基準(ワン・イヤー・ルール)に基づき、「流動資産」と「固定資産」に分類される。
B. 受取手形や売掛金は、将来現金を受け取る権利であり、「流動資産」に含まれる。
C. 土地や建物、機械装置といった事業活動の基盤となる資産は、「有形固定資産」に分類される。
D. 「のれん(営業権)」やソフトウェアは、物理的な実体を持つため、「有形固定資産」に分類される。
【第7問】貸借対照表(負債+純資産)
貸借対照表の負債・純資産の部に関する記述として、正しいものを一つ選べ。
A. 「負債」は、将来返済または支払い義務のあるものであり、全て株主からの出資で構成される。
B. 「純資産」は、資産総額から負債総額を差し引いたものであり、返済義務のない自己資本を中心とする。
C. 買掛金や支払手形は、1年を超えて支払期日が到来するため、「固定負債」に分類される。
D. 「利益剰余金」は、株主からの出資金であり、企業の元手となるお金である。
【第8問】キャッシュフロー計算書
キャッシュフロー計算書における3つの活動区分のうち、「財務活動によるキャッシュフロー」に分類される取引はどれか。
A. 商品を販売し、代金を現金で回収した。
B. 新しい工場を建設するために、土地を現金で購入した。
C. 銀行から事業資金として、現金の融資を受けた。
D. 従業員に給与を現金で支払った。
【第9問】連結会計
連結財務諸表に関する記述として、誤っているものを一つ選べ。
A. 連結財務諸表は、親会社と子会社を一つの企業グループとみなして作成される。 B. 親会社が子会社の議決権の50%超を所有していなくても、実質的に経営を支配している場合は連結の対象となる(支配力基準)。 C. 親会社と子会社間の取引(例:親子間での商品の売買)は、グループ外部との取引ではないため、連結決算の過程で相殺消去される。 D. 親会社が子会社の議決権の20%以上50%以下を所有している「関連会社」の業績は、連結損益計算書に全額合算される。
【第10問】税効果会計
税効果会計に関する記述として、最も適切なものを一つ選べ。
A. 企業の納税額を合法的に減らすための、節税テクニックのことである。
B. 会計上の利益と税務上の課税所得の間に生じる一時的な差異を調整し、法人税等を費用として適切に期間配分するための会計処理である。
C. 会計上の費用として認められるが、税務上は損金として認められない項目がある場合、「繰延税金負債」が計上される。
D. 税効果会計の適用は、企業の任意である。
【第11問】有価証券(時価会計)
保有目的別に分類される有価証券の会計処理に関する記述として、正しいものを一つ選べ。
A. 売買目的有価証券: 短期的な価格変動による利益獲得を目的とする。期末に時価評価し、評価差額は純資産の部に直接計上する。
B. 満期保有目的の債券: 満期まで保有することを目的とする。償却原価法で評価し、時価の変動は財務諸表に反映させない。
C. 子会社・関連会社株式: 他社を支配・影響することを目的とする。期末に時価評価し、評価差額は損益計算書に計上する。
D. その他有価証券: 上記のいずれにも分類されない。取得原価で評価し、時価の変動は財務諸表に反映させない。
【第12問】総合力分析:ROAとROE ※計算問題
以下の情報に基づき、ROE(自己資本利益率)は何%になるか計算せよ。(小数点以下は四捨五入)
- 当期純利益: 100万円
- 総資産: 2,000万円
- 負債合計: 1,200万円
A. 5%
B. 8%
C. 13%
D. 25%
【第13問】収益性分析
損益計算書を用いた収益性分析に関する記述として、最も適切なものを一つ選べ。
A. 売上高総利益率(粗利率)は、企業の本業における総合的な収益力を示す指標である。
B. 売上高営業利益率は、販売する商品や製品そのものの儲ける力を示す指標であり、この比率が高いほど原価管理が優れていると言える。
C. 売上高経常利益率は、営業利益率に金融収支(受取利息や支払利息など)の影響を加味した指標であり、企業の財務活動も含めた収益性を示す。
D. 収益性分析を行う際は、異なる業種の企業と比較することで、自社の客観的な収益力を判断できる。
【第14問】安全性分析
企業の財務健全性(安全性)を分析する指標に関する記述として、誤っているものを一つ選べ。
A. 自己資本比率は、総資本に占める返済不要の自己資本の割合を示し、この比率が高いほど財務の長期的な安定性が高いと言える。
B. 流動比率は、短期的な支払い能力を示す指標であり、「流動資産 ÷ 流動負債」で計算される。
C. 当座比率は、流動資産の中でも特に現金化しやすい当座資産と流動負債を比較する、より厳しい短期支払い能力の指標である。
D. 固定比率は、「固定資産 ÷ 流動負債」で計算され、この比率が高いほど固定資産への投資が安定的であると言える。
【第15問】株式市場が企業を評価する指標
株式投資の指標であるPER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)に関する記述として、最も適切なものを一つ選べ。
A. PERは「株価 ÷ 1株当たり純資産」で計算され、企業の資産価値から株価の割安性を判断する指標である。
B. PBRは「株価 ÷ 1株当たり当期純利益」で計算され、企業の収益力から株価の割安性を判断する指標である。
C. 一般的に、PBRが1倍を割れている状態は、企業の市場価値(株価)が、解散価値(1株当たり純資産)をも下回っていることを意味する。
D. PERが高いほど、企業の利益成長に対する市場の期待は低いと言える。
【第16問】たな卸資産
たな卸資産(在庫)の評価方法に関する記述として、正しいものを一つ選べ。
A. 先入先出法: 後から仕入れた商品から先に出庫されると仮定して、期末在庫の単価を計算する方法。
B. 後入先出法: 先に仕入れた商品から先に出庫されると仮定して、売上原価を計算する方法。
C. インフレ(物価上昇)時には、先入先出法を用いると、後入先出法に比べて利益が大きく計算される傾向がある。
D. 現在の日本の会計基準では、たな卸資産の評価方法として後入先出法が原則として認められている。
【第17問】減価償却と固定資産
固定資産の減価償却に関する記述として、誤っているものを一つ選べ。
A. 減価償却とは、固定資産の取得原価を、その資産が使用可能な期間(耐用年数)にわたって、体系的に費用として配分する手続きである。
B. 「定額法」は、毎期同額の減価償却費を計上する方法である。
C. 「定率法」は、期首の未償却残高に一定の償却率を乗じて減価償却費を計算するため、使用開始初期の費用計上額が大きくなる。
D. 土地は、時の経過によって価値が減少しないと考えられるため、減価償却の対象となる。
【第18問】損益分岐点分析 ※計算問題
ある製品の販売価格が1個1,000円、変動費が1個600円、固定費が月間で80万円である場合、損益分岐点売上高は月間いくらになるか計算せよ。
A. 133万円
B. 200万円
C. 320万円
D. 800万円
【第19問】原価計算 ※計算問題
A製品とB製品を製造しており、間接費(工場全体の光熱費など)が100万円発生した。以下の配賦基準に基づき、A製品に配賦されるべき間接費はいくらか計算せよ。(配賦基準:各製品の直接作業時間)
- A製品の直接作業時間: 300時間
- B製品の直接作業時間: 200時間
A. 20万円
B. 40万円
C. 50万円
D. 60万円
【第20問】マネジメント・コントロール
経営管理の手法の一つであるBSC(バランスト・スコアカード)に関する記述として、最も適切なものを一つ選べ。
A. 主に過去の財務指標のみを重視して、業績を評価・管理する手法である。
B. 「財務」「顧客」「内部ビジネスプロセス」「学習と成長」という4つの視点から、業績を多角的に評価・管理する手法である。
C. 各事業部を「プロフィット・センター」や「コスト・センター」に分類するためのフレームワークである。
D. 企業の不正行為を防止するための、内部牽制の仕組みを指す。
【第21問】内部統制
内部統制の基本的な構成要素に関する記述として、最も適切でないものを一つ選べ。
A. 統制環境: 経営者の姿勢や倫理観、組織文化など、他の全ての要素の基礎となる環境。
B. リスクの評価と対応: 組織目標の達成を阻害するリスクを識別・評価し、適切に対応するプロセス。
C. 統制活動: 経営者の命令が適切に実行されるよう、権限や職責の分掌などを定める方針や手続き。
D. 株価の最大化: 内部統制の究極的な目的は、株価を最大化することに限定される。
【第22問】損益計算書の構造
損益計算書における「特別利益」または「特別損失」に分類される項目として、最も適切なものを一つ選べ。
A. 本業である商品の売上
B. 銀行預金の受取利息
C. 本社ビルの家賃
D. 所有する土地の売却による利益
【第23問】運転資本(ワーキング・キャピタル)
運転資本(売上債権+棚卸資産-仕入債務)に関する記述として、誤っているものを一つ選べ。
A. 運転資本は、企業が日々の営業活動を円滑に行うために必要となる資金を表す。
B. 売上が急拡大している成長企業では、売掛金や在庫が増加し、運転資本が不足して黒字倒産に陥るリスクがある。
C. 買掛金の支払サイトを長くすることは、運転資本を減少させ、資金繰りを楽にする効果がある。
D. 運転資本は、少なければ少ないほど、企業の販売機会の損失リスクが低くなる。
【第24問】キャッシュフロー計算書(間接法)
キャッシュフロー計算書を間接法で作成する際、税引前当期純利益に加算する項目の代表例はどれか。
A. 売上債権(売掛金)の増加
B. 棚卸資産(在庫)の増加
C. 減価償却費
D. 仕入債務(買掛金)の減少
【第25問】ROA(総資産利益率)
ROA(総資産利益率)をデュポン・システム(公式)で分解した際の組み合わせとして、正しいものはどれか。
A. ROA = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率
B. ROA = 売上高営業利益率 × 財務レバレッジ
C. ROA = 自己資本比率 × 総資産回転率
D. ROA = ROE × 財務レバレッジ
【第26問】資金繰り
企業の安全性分析において、短期的な支払い能力に問題がないかを判断する際に、最も重視すべき財務諸表はどれか。
A. 損益計算書
B. 貸借対照表
C. キャッシュフロー計算書
D. 株主資本等変動計算書
【第27問】CVP分析(損益分岐点分析)
損益分岐点分析(CVP分析)において、損益分岐点を引き下げる(より低い売上高で利益が出る体質にする)ための施策として、適切でないものを一つ選べ。
A. 材料費や外注費といった変動費の単価を引き下げる。
B. 地代家賃や人件費といった固定費を削減する。
C. 製品の販売価格を引き上げる。
D. 売上高に連動して発生する販売手数料の比率を引き上げる。
【第28問】ABC(活動基準原価計算)
伝統的な原価計算の問題点を克服するために考案されたABC(Activity-Based Costing)に関する記述として、最も適切なものを一つ選べ。
A. 全ての間接費を、生産量や作業時間といった単一の基準で、各製品に均等に配賦する。
B. 間接費が発生する原因となる「活動(アクティビティ)」に着目し、その活動の消費度合いに応じて、より正確に製品原価を計算する手法。
C. 主に、財務諸表を外部に公表する目的で用いられる、制度的な原価計算方法である。
D. 計算プロセスが非常にシンプルなため、導入や運用のコストが低いというメリットがある。
【第29問】責任会計
マネジメント・コントロールの手法の一つである責任会計において、自部門のコスト(費用)の発生に対してのみ責任を負う管理責任単位を何と呼ぶか。
A. コスト・センター
B. プロフィット・センター
C. レベニュー・センター
D. インベストメント・センター
【第30問】○○会計
固定資産の収益性が低下し、投資額の回収が見込めなくなった場合に、帳簿価額を回収可能な価額まで引き下げる会計処理を何と呼ぶか。
A. 減価償却
B. 税効果会計
C. 減損会計
D. 時価会計

お疲れ様でした!全30問、いかがでしたか?
これだけやりこめば合格は目の前です。間違えた問題は繰り返し解いて覚えていきましょう。
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