山頂の、静寂
長く、険しい、資産形成という名の“登山”。 その、山頂に、僕は、ようやく、たどり着いた。
かつて、僕の心を、支配していた、麓の喧騒は、もう、聞こえない。 「お金が足りない」という、焦り。 「他人より、劣っているのではないか」という、不安。 それらの、濃い霧は、完全に晴れ渡り、僕の目の前には、どこまでも、穏やかで、静かな景色が、広がっている。
僕は、勝ったのだ。 人生の、前半戦という名の、過酷なゲームに。
しかし、その、あまりにも、静かな山頂で、一人、佇む僕の心に、新しい、そして、これまで、経験したことのない、種類の“問い”が、静かに、湧き上がってきた。
「で、この後、どうするんだ…？」
戦いは、終わった。 しかし、人生は、まだ、続く。 この、手に入れた、莫大な「富」と「時間」を、僕は、一体、何のために、使えばいいのだろうか。
この記事は、そんな僕が、資産形成の、その先に、見出した、新しい「問い」と、その、まだ、おぼろげな「答え」を探す、思索の旅の、中間報告である。 これは、明確な、ゴールを示す、地図ではない。 むしろ、同じように、山頂の、静寂の中で、途方に暮れている、まだ見ぬ“君”と、共に、悩むための、静かなる「対話」の、試みだ。
“ゼロで死ぬ”ことの、限界 - なぜ、僕たちは、何かを“遺したく”なるのか
僕は、これまで「DIE WITH ZERO（ゼロで死ぬ）」という、哲学を、一つの、理想としてきた。 人生で、得た富は、すべて、自分自身の「体験価値」へと、変換し、最後には、何も残さず、この世を去る。 それは、あまりにも、合理的で、美しい、生き方だ。
しかし、その哲学は、あまりにも「自分」という、個人に、閉じすぎてはいないだろうか。 その、自己完結した、美しい物語の中に、「他者」や「次世代」という、視点は、存在するのだろうか。
僕たちは、一人では、生きていない。 僕が、今、ここに、いられるのも、僕を、産み、育ててくれた、親がいたからだ。 僕を、支えてくれる、妻や、友人が、いるからだ。 そして、僕たちが、当たり前のように、享受している、この、平和で、豊かな社会は、僕たちの、名も知らぬ、祖先たちが、必死で、築き上げてくれた、遺産の上に、成り立っている。
その、あまりにも、大きな「恩」の、連鎖の中に、生きる者として。 僕たちは、本当に「ゼロで去る」ことが、許されるのだろうか。 いや、むしろ、僕たちが、受け取った、この、豊かさの“バトン”を、形を変えて、次の世代へと、手渡していく「責任」が、あるのではないだろうか。
“第二の人生”の、三つの、航路 - 僕の富は、どこへ向かうべきか
その「責任」を、果たすための、道筋。 僕の、頭の中には、今、三つの、大きく、異なる「航路」が、浮かび上がっている。
①「先祖」としての、航路 - 子や、孫への“継承”
最も、分かりやすい道。それは、自らが、築いた資産を、自らの、子や、孫へと、残すことだ。 しかし、僕は、ここで、立ち止まる。
ただ、無造作に、大金を、残すこと。 それは、本当に、彼らの、ためになるのだろうか。 むしろ、その、苦労なくして、手に入れたお金が、彼らから、ハングリー精神や、自ら、道を切り拓く、たくましさを、奪ってしまう“毒”に、なることはないだろうか。
僕が、もし、彼らに、何かを、遺すのだとしたら。 それは、単なる「金融資産」ではない。 それは、彼らが、自らの人生を、より、豊かにするための「経験」や「教育」という名の、無形資産であるべきだ。
彼らが、世界を、知るための「留学費用」。 彼らが、自らの、夢を、試すための、ささやかな「起業資金」。 魚を、与えるのではない。魚の、釣り方を、教える。いや、大海原へと、漕ぎ出すための、最初の、小さな“船”を、与える。 それこそが、僕が、果たすべき、先祖としての、役割なのかもしれない。
②「市民」としての、航路 - 社会への“還元”
次に、僕の、視線は、自らの、血縁を、超えて、社会へと、向かう。 僕が、この、豊かで、安全な国で、資産を、築くことができたのは、僕が、優秀だったから、だけではない。 その、背景には、僕たちが、当たり前のように、享受してきた、社会インフラや、教育、そして、平和そのものが、あったからだ。
ならば、その、社会に対して、僕が、受けた恩の、一部を「還元」するのは、当然の、責務ではないだろうか。
僕が、心を、痛める、社会問題は、何か。 僕が、未来へと、繋げたい、と願う、価値は、何か。
その、問いと、向き合い、自らが、応援したいと、思う、NPOや、財団に、寄付をする。 あるいは、僕が、このブログで、やっているように、自らの、経験と、知識を、体系化し、まだ見ぬ、誰かのために、無料で、提供し続ける。 この、ささやかな、しかし、確かな「貢献」こそが、僕が、この社会の、一員として、生きた、証となるのかもしれない。
③「創造主」としての、航路 - 自らの“理想”の、実現
そして、最後の道。 それは、もしかしたら、最も、自己中心的で、しかし、最も、人間的な、道かもしれない。 それは、築き上げた資産を、誰のためでもない、僕自身の「理想」や「夢」を、実現するために、すべて、使い切る、という、選択だ。
僕にとって、それは、 「このブログという、僕だけの、小さな“王国”を、生涯にわたって、耕し続けること」 であり、 「土に触れ、自らの手で、食べ物を、育てるという、農業への、挑戦」 だ。
これらは、もはや、お金を、稼ぐための、行為ではない。 それは、僕が、僕の、人生の、最後に「ああ、俺は、心の底から、やりたいことを、やり尽くした」と、納得するための、究極の、自己満足であり、最高の“暇つぶし”なのだ。
結論：君は、最後に、どんな“物語”を、遺したいか
「先祖」か、「市民」か、「創造主」か。 あるいは、その、すべてか。
僕の、思索の旅は、まだ、始まったばかりだ。 そして、おそらく、この問いに、絶対の「正解」は、存在しないのだろう。
しかし、僕が、確信しているのは、これだ。 「経済的自由」が、僕たちに、与えてくれる、最後の、そして、最高の“贈り物”。 それは、「君は、人生の、最終章で、どんな“物語”を、紡ぎたいのか？」という、この、あまりにも、根源的で、尊い問いと、真剣に、向き合う「時間」と「権利」そのものなのだ。
僕の、自分のための、資産形成の物語は、もうすぐ、終わる。 そして、その、空白になった、次のページから、 僕だけの、そして、僕ではない、誰かのための、新しい物語が、始まっていく。
君は、その、最後の章に、どんな、言葉を、記したいだろうか。