君は、なぜ金持ちになりたいのか?
「早く金持ちになりたい」 SNSを開けば、誰もがそう叫んでいる。3万円が500万円になった、という詐欺広告。一晩で億り人になった、という仮想通貨の成功譚。誰もが、人生をショートカットするための「裏技」を探し、焦っている。
その気持ちは、痛いほどわかる。 何を隠そう、僕自身が、その「早く金持ちになりたい病」に、長年、深く侵されてきた患者の一人なのだから。
しかし、もし君が、本気で今のどうしようもない人生から抜け出したいと願うなら、僕は、最初に、一つの冷徹な問いを、君に突きつけなければならない。
「金持ちになった後、君は、一体どうするんだ?」
この、あまりにもシンプルで、しかしあまりにも本質的な問いに、君は、淀みなく答えることができるだろうか。もし、答えられないのなら。君が今、必死で追い求めているのは、富ではなく、ただの幻想に過ぎない。
なぜ僕たちは、「もっと、もっと」の無限地獄に堕ちるのか
僕たちの祖先が、狩猟採集で生きていた時代。 彼らは、無限に獲物を狩り続けるようなことはしなかった。なぜなら、食べきれないほどの肉は、いずれ腐ってしまうからだ。そこには、自然な「満腹」と「満足」の、明確な終着点があった。
しかし、現代社会において、僕たちは「お金」という、決して腐ることのない、無限に保存可能な“食料”を発明してしまった。
この発明が、僕たちの脳をバグらせた。 僕たちは、もはや「満腹」を知らない。いくら貯めても、さらに貯めたくなる。僕たちの欲望には、もはや自然なリミッターは存在しない。
僕自身の話をしよう。 僕は今、38歳。金融資産は、約4000万円。 若い頃の僕がこの数字を見れば、間違いなく「大金持ちだ」と絶叫しただろう。
しかし、今の僕は、どうだ。 全く、満足できていない。 むしろ、「もっと金が欲しい」「もっと金があれば、もっと安心できる」という、新しい呪縛に囚われている。
1億円か? 2億円か? どこまで行けば、この渇きは癒えるのか。 その終着点は、どこにもない。金持ちは、さらに金持ちになりたいと夢を見てしまう。それが、この病の、恐ろしい正体なのだ。
唯一の“処方箋” -「第二の人生」の、解像度を上げろ
では、この無限地獄から抜け出すための、唯一の処方箋は何か。 それは、「お金を稼いだ、その先にある、具体的な“夢”を描くこと」だ。
僕にとって、その夢は、明確に存在する。
僕は、会社を辞め、FIREを達成した後、このブログを書き続けながら、小さな「農業」を始めたい。
この、具体的で、手触りのある夢があるからこそ、僕の資産形成は、単なる数字の積み上げゲームから、「第二の人生の扉を開けるための、鍵を作る作業」へと、その意味を変えた。 会社で働くという、時に理不尽で、消耗するだけの行為も、「この鍵を作るための、必要なコストだ」と、納得感を持って受け入れることができる。
君はどうだ? 金持ちになって、一体、何をするんだ? タワマンの最上階で、毎日、虚ろな目でUber Eatsを頼むのか? 高級車を乗り回し、SNSで「いいね!」をもらうだけの、空虚な人生を送るのか?
その先に、君が本当に望む景色が広がっていないのなら、君が今やっていることは、ただ、賽の河原で石を積み上げるような、不毛な労働でしかない。
凡人が、この“クソゲー”を攻略するための、唯一の方法
分かっている。 「夢を描け」などと、綺麗事を言うのは簡単だ。しかし、日々の生活に追われ、そんな余裕はない、という君の気持ちも、痛いほどわかる。
多くの人は、何も行動せず、何も変えられず、周りと同じように、ただグダグダと不満を言いながら、人生を終えていく。
もし、君が、本気でその“その他大勢”から抜け出したいと願うなら。 僕が提示できる、再現性のある方法は、もはや、これしかない。
死ぬ気で働け。 まずは、今の場所で、誰よりも働き、1円でも多く、投資の原資となる「種銭」を稼ぎ出せ。
そして、死ぬ気で、投資にぶち込め。 生まれた種銭を、一切の感情を排し、給料天引きで、ただひたすらに、積立投資に回し続けろ。
投資先は、「S&P500」か「オール・カントリー(オルカン)」。それだけでいい。 個別株の分析など、するな。チャートを眺めるな。経済ニュースに、一喜一憂するな。 考えるな。ただ、続けろ。
僕たち凡人が、この資本主義という名のクソゲーを攻略するための、唯一にして最強の武器。 それは、「時間」だ。時間を味方につけ、福利の魔法を、最大限に活用する。それ以外に、道はない。
結論:まず、戦場に立て
「早く金持ちになりたい」という病は、君が、まだこのゲームの「観客席」にいるから、発症するのだ。 ああでもない、こうでもないと評論しているだけで、まだ、戦場に立っていないからだ。
一度、戦場に立て。 自らのリスクで、自らの金を、市場に投じてみろ。 その瞬間に、甘い幻想は消え失せ、君は、厳しい現実と、そして、本当の自分自身と、向き合うことになるだろう。
その先に、君だけの「第二の人生」の輪郭が、少しずつ、見えてくるはずだ。
夢を描け。 そして、その夢を掴み取るために、今日から、血反吐を吐くほどの、努力を始めろ。 僕たちの人生は、それ以外の方法では、決して変えることはできないのだから。