はじめに
「一生に一度は屋久島へ」 そんな言葉に誘われて、年末の屋久島に行ってきました。
スペックはまもなく40歳になる男性、ジム通い(筋トレ歴7年)。
結論から言うと、「感動」よりも「修行」でした。
ネットに溢れる「最高でした!」「人生変わった!」というキラキラした感想に違和感を持つ私が、忖度なしのリアルな屋久島をQ&A方式ですべて答えます。
これから行こうか迷っている人、特に「体力に不安がある40代」や「絶景コスパ(タイパ)を重視する人」は、予約する前に必ず読んでください。
【メンタル・感動編】ぶっちゃけ、どうなの?
Q1. 「人生観が変わる」とか言うけど、本当?

A. 正直、景色で感動したいなら「立山黒部アルペンルート」の方が上です。
もしあなたが、スカッと開けた青空やダイナミックな山岳絶景が好きなら、屋久島はおすすめしません。
屋久島(特に縄文杉ルート)は、10時間ずっと「薄暗い森の中」です。
視界は閉ざされ、地味な苔や木の根を見続けることになります。
「癒やし」というよりは、「文明から離れてひたすら歩く没入感」や、やり遂げた後の「スポーツ的な達成感」を求めて行く場所です。
Q2. トロッコ道が長いって聞くけど、実際どう?

A. 「精神の監獄」レベルで長いです。
片道約8km、往復16km。景色が変わらない単調な道を、ひたすら歩きます。
しかも、枕木の幅が歩幅と合わず、リズムよく歩けません。
しかも、雨が降ると滑りやすくなります。
「まだ着かないのか…」と誰もが心を折られかけます。
あそこは体力ではなく、「無になるメンタル」が試される場所です。
Q3. 縄文杉と白谷雲水峡、どっちがおすすめ?

A. 楽しさで言えば、圧倒的に「白谷雲水峡」です。
- 縄文杉(往復22km): フルマラソン並みの耐久レース。ひたすら我慢。
- 白谷雲水峡(往復約6km): アスレチック感覚で楽しい。もののけ姫の世界観があり、景色もコロコロ変わる。
私は2日連続(初日に縄文杉、翌日に白谷雲水峡)で行きましたが、縄文杉の翌日に行った白谷雲水峡は「ボーナスステージ」のように感じました。
体力に自信がないなら、白谷雲水峡だけでも十分屋久島を感じられます。
【体力・ダメージ編】私でも登れる?
Q4. 普段運動してないけど大丈夫?

A. 30代までなら気合。40代以上は「準備」しないと膝が壊れます。
今回のツアー(16名参加)でも、50歳前後の方で断念した方が1名いました。
私は週数回ジムに通い、心肺機能には自信がありましたが、それでも後半はふくらはぎがパンパンになりました。
特に「50代・運動経験なし」でのツアー参加は無謀だと思います。
周りに迷惑をかけるプレッシャーで自滅します。
貸切ガイドを頼むのが賢明です。
Q5. どれくらいカロリー消費するの?
A. 2日間で「5,000kcal」消費しました。フルマラソン2回分です。
- 縄文杉: 約3,800kcal(活動時間10.5時間)
- 白谷雲水峡: 約1,200kcal(活動時間3.5時間)
雨と寒さで体温維持にエネルギーを使ったこともあり、凄まじい消費量でした。
ダイエット中だろうが何だろうが、この日ばかりは食べないと動けなくなります。
Q6. 翌日の筋肉痛は大丈夫だった?
A. 「アミノ酸」と「アイシング」のおかげで、奇跡的に軽傷でした。
ここが一番のポイントです。
何も対策しないと、翌日はロボット歩き確定です。 生まれたての小鹿のようになります。
私は以下の対策を徹底しました。
- アミノバイタルGOLD:出発前・昼・下山後に飲む。
- アイシング:宿のお風呂で、ふくらはぎに冷水シャワーをかける。
- 靴下の履き替え:昼食時に乾いた靴下に変える(これ重要!)。
この「ケアの知識」があるかどうかが、疲れを翌日に残さない分かれ道です。
【装備・食事編】何が必要?
Q7. レインウェアはワークマンでもいける?

A. 悪いことは言わない。ゴアテックスを借りてください。
私はワークマンのレインウェアで行きましたが、屋久島の「バケツをひっくり返したような長時間の大雨」には勝てず、浸水しました。
中まで水が染みて、寒さで頭がガチガチになり、体力をごっそり奪われました。
「安いのでいいや」は命取りです。
現地レンタルで良いので、登山専門メーカーのものを使いましょう。
Q8. 宿のお弁当だけで足りる?
A. 全然足りません。甘くない「行動食」が必須です。
宿の弁当は衛生上の理由でしっかり冷やされており、量も控えめです。
寒空の下で食べる冷たい弁当は、正直美味しくありません(味がしません)。
私は以下の「甘くない行動食」を持参して救われました。
- 魚肉ソーセージ & カルパス
- 素焼きミックスナッツ
- 干し芋
甘いお菓子(チョコ等)ばかりだと飽きて気持ち悪くなります。
「塩気」と「タンパク質」をポケットに入れて、歩きながら少しずつ食べるのがバテないコツです。
【総評】結局、行く価値はある?

Q9. ツアー参加ってどう?
A. 一期一会は面白い。でも「自分のペース」は守れない。
今回参加したのが1人参加限定のツアーでしたが、連帯感は生まれます。
ただ、体力差があるメンバーに合わせるため、寒くても待機時間が発生したりします。
また、お酒を飲まない私のようなタイプは、夜の宴会よりも「翌朝の朝食」くらいでの交流が心地よかったです。
過度な期待はせず、「安全を買う」くらいの気持ちで参加するのが良いでしょう。
Q10. もう一回行きたい?
A. すぐには行きたくないです(笑)。でも、行ってよかった。
コスパや快適さを求めるなら、長野の千畳敷カールや上高地に行きます。
でも、「あの雨の中、22kmを歩ききった」という自信は、確実に今の自分を支えています。
屋久島は「観光地」ではなく「自分の心身を鍛える場所」。
今の自分の現在地を知りたい人には、最高のフィールドだと思います。
【環境・トイレ・マナー編】意外な落とし穴

Q11. トイレ事情はどうなってる?
A. 「4時間なし」の区間があります。計画的に行かないと詰みます。
登山口、トロッコ道の途中、ウィルソン株手前などにトイレはありますが、場所によっては往復数時間トイレがない区間が存在します。
また、携帯トイレブース(隠れる場所)を使う可能性もあるので、携帯トイレは「お守り」として必ず持参すべきです。
生理現象は根性では我慢できません。
Q12. 携帯の電波は入る?
A. ほぼ圏外です。強制デジタルデトックス状態です。
登山口や一部の開けた場所を除き、森の中は繋がりません。 注意点は「電池の減り」です。電波を探してバッテリーを消耗する上、寒さで電池が一気に減ります。
私は機内モードにしていましたが、それでもモバイルバッテリーは必須でした。
写真は撮りたいでしょうから、充電対策は万全に。
Q13. 野生動物(シカ・サル)には会える?
A. 嫌というほど会えます。もはや「障害物」です。
屋久鹿や屋久猿は、人を恐れません。登山道を塞ぐように座っていたりします。
可愛いですが、絶対に触ったり餌をあげたりしてはいけません。
奈良公園の鹿のような感覚で近づくと、ガイドさんに怒られます。
あくまで「野生」との距離感を保ってください。
【お金・宿泊・ガイド編】ケチるところ、出すところ

Q14. ガイドなし(個人)でも行ける?
A. 行けますが、ペース配分ができない初心者は「死」を見ます。
道は一本道なので迷いませんが、問題は「時間管理」です。
帰りのバスの時間(18:00頃)に遅れると、タクシーで高額出費になります。
ガイドさんは「ここで休憩何分」「ここは急ぐ」とペースメーカーになってくれるので、体力ギリギリの人はガイドを雇うのが、結果的に一番安上がりで安全な保険です。
Q15. 現金は必要?
A. 現金必須です。山はお金がかかります。
- トイレ協力金: 500円程度
- バス代: 小銭が必要
- チェーンスパイクレンタル: ガイド判断で急遽1,000円必要になることも
私は「スパイク代」を知らされておらず焦りました。
千円札を10枚くらい、ジップロックに入れて持っておくのが正解です。
Q16. 宿泊した「RAKUSAホテル」はどうだった?
A. 「合宿所」です。朝食の工夫が必要です。
部屋はシンプルで清潔ですが、リゾート感はありません。
最大の注意点は「朝食」です。パックご飯と簡単な味噌汁程度しかないので、トレッキング前のエネルギーとしては圧倒的に不足します。
私は東京から「レトルト牛丼」や「フリーズドライ豚汁」を持参し、レンジで温めて食べました。
この工夫がなければ、シャリバテしていたと思います。
【教訓・マニアック編】オッサンの反省会

Q17. トレッキングシューズはレンタル?自前?
A. 私は自前(ノースフェイス)でしたが、レンタルでも十分です。
重要なのはブランドより「防水」と「ハイカット(足首保護)」です。
屋久島の道は、濡れた岩や木の根で滑りやすく、トロッコ道の枕木で足首を捻りやすいです。
スニーカーは論外として、靴下さえ厚手の良いもの(登山用ウール)を履けば、レンタル靴でも問題ありません。
Q18. 写真を綺麗に撮るコツはある?
A. 「雨対策」が全てです。
森の中は暗く、雨が降っています。
一眼レフは重いし濡れるので出しにくく、結局スマホが最強です。
ただし、スマホも濡れると操作不能になります。 首から下げる「完全防水ケース」に入れるか、ジップロック越しに撮影する準備をしておかないと、思い出が1枚も残らない可能性があります。
Q19. 下山後、何を食べるべき?
A. 「豚肉のキムチ鍋」一択です。
下山後は体が冷え切り、筋肉が損傷しています。
頭皮がガチガチになるほどの冷えには「カプサイシン(辛味)」、筋肉疲労には豚肉の「ビタミンB1」が効きます。
地元の居酒屋でお刺身も良いですが、まずは温かい肉料理で体を回復させることを優先してください。
翌日のダメージが全然違います。
Q20. 最後に、これから行く人へ一言。
A. 「準備8割、当日2割」。
屋久島トレッキングの成否は、当日の頑張りではなく、「行く前の準備」で決まります。
アミノ酸を買ったか、靴下を2枚持ったか、甘くない行動食を用意したか。
このブログを読んでいる時点で、あなたはすでに「勝ち組」に片足を突っ込んでいます。
あとは実行するだけ。過度な期待はせず、淡々と準備をして、屋久島の雨を楽しんできてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
これが、40歳手前のオッサンが見た「屋久島のリアル」です。
「思ったより大変そう…」と引いてしまったかもしれません。
でも、この「大変さ」を事前に知っておけば、現地で「こんなはずじゃなかった」と絶望することはありません。
むしろ「想定通りだな」と余裕を持って対処できるはずです。
これから屋久島を目指す皆さんが、私と同じように「文句を言いながらも、怪我なく完歩して帰ってくる」ことを願っています。
それでは、良い旅を!