冬の満員電車はなぜサウナなのか

冬の通勤は私たちにとって過酷な環境だ。
極寒のホームで震えながら電車を待ち、到着した満員電車に乗り込んだ瞬間に襲ってくる猛烈な熱気と湿気。
ヒートテックをしっかり着込んで防寒対策をしたはずなのに、背中や脇から汗が止まらなくなり会社に着く頃には下着が濡れて不快な冷えを感じる。
あなたもそんな経験があるのではないだろうか。
実はこれは体の体温調節機能とヒートテックの特性が引き起こすミスマッチが原因だ。
私たちの体は急激な温度変化を感知すると体温を下げようとして汗をかく。
さらに人口密度の高い車内は湿度が高く汗が蒸発しにくいため、余計にベタつきやすくなるのだ。
ヒートテックが“冷え”の原因になる皮肉な理由

ヒートテックが暖かいのは体から出る水蒸気を繊維が吸着して熱に変える「吸湿発熱」という仕組みのおかげだ。
しかしこれには弱点がある。
ヒートテックに使われているレーヨンなどの素材は吸水性が高い一方で速乾性には優れていない。
そのため大量に汗をかくと繊維の吸収能力が追いつかず、濡れた布が肌に張り付いたままになってしまう。
結果として発生した熱よりも水分による冷却効果が上回り、逆に体を冷やしてしまう「汗冷え」という本末転倒な事態を引き起こすことになる。
解決策は「下にエアリズムを着る」こと

そこで私が提案したいのが3年前にユニクロで働いている友人から教わった驚きの解決策だ。
それは「ヒートテックの下にエアリズムを着る」という一見すると常識外れの方法である。
夏用のインナーであるエアリズムを冬に着ることに抵抗があるかもしれない。
しかしこれはユニクロ公式も推奨している理にかなった重ね着テクニックなのだ。
仕組みはこうだ。
まず肌に一番近いエアリズムが汗を素早く吸収して拡散させる。
そしてエアリズムから発散された適度な水蒸気をその上のヒートテックがキャッチして熱に変える。
この二層構造により、肌は常にサラサラの状態を保ちながらヒートテックの発熱効果だけを享受することができる。
汗冷えを防ぎつつ暖かさをキープする最強の布陣と言えるだろう。
夏の遺産を冬の武器に変えろ
もしあなたがクローゼットの奥に夏に使ったエアリズムを眠らせているなら、今すぐ引っ張り出してほしい。
新しく高機能な冬用インナーを買い足す必要はない。
手持ちのエアリズムを一枚インナーに仕込むだけで、冬の満員電車地獄は快適な空間へと変わる。
明日の朝の通勤でぜひ試してみてほしい。
その圧倒的な快適さにあなたは必ず驚くはずだ。